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(女性の思春期後ざ瘡 + 冷え・浮腫等) × 当帰芍薬散[漢方スッキリ方程式(24)]

No.4950 (2019年03月09日発行) P.14

吉木伸子 (よしき皮膚科クリニック銀座院長)

登録日: 2019-03-08

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思春期後ざ瘡が増加している。顔の下のほうにできやすく,深く膿を持ち,色素沈着を残しやすいため,女性にとっては大きな悩みのたねとなる。

月経前に悪化する例が多く,特に月経不順などがなくても何らかのホルモンバランスの乱れが関係していることが推察される。背景にストレス,不規則な生活,運動不足などがある。

思春期後ざ瘡には駆瘀血剤が有効

これらの治療には,駆瘀血剤が有効であることが多い。

婦人科三大処方といわれる当帰芍薬散,加味逍遥散,桂枝茯苓丸の出番は特に多く,それらの使い分けを会得するだけでも思春期後ざ瘡の半数くらいは対応できると思われる。

冷え症,浮腫,月経前の頭痛を訴えるケースでは,当帰芍薬散が合うことが多く,月経不順や月経困難症なども同時に改善する場合がある。当帰芍薬散,加味逍遥散,桂枝茯苓丸を使い分ける際に着目すべき患者の特徴は以下の通り。

当帰芍薬散

虚証の瘀血(冷え症で,厚着をする。冷え症にも程度があり,当帰芍薬散のような虚証の冷え症は,靴下をはいて寝る,湯たんぽや電気毛布を使うなどの重度の冷え症),血虚(顔も舌も白っぽい。立ちくらみがある。疲れやすい),水毒(下腿の浮腫,舌の歯圧痕,月経前の頭痛)。小さな声で,ゆっくり丁寧に話す傾向がある。

加味逍遥散

中間証の瘀血(冷え症だが湯たんぽまでは使わない。月経前のイライラや過食傾向がある)。便秘がち(過敏性腸症候群との鑑別が必要。便秘でも,ストレスや冷たいものの飲食で下痢になるなど過敏性腸症候群の便秘型は,加味逍遥散の適応は少なく,当帰建中湯などを検討する。加味逍遥散の便秘は,便が硬く,月経前には2,3日便が出なくなり,月経開始とともに快調になるというのが典型)。全般に訴えが多く,大げさ。話が長い。

桂枝茯苓丸

実証の瘀血(末端は冷えるが寒がりではなく,厚着もしない。「暑がりの寒がりです」という者が多い。月経前症候群としての腹が張る,痛む,イライラするなどの症状が強い。目元のくま。舌が暗紫色で瘀斑がある。黒っぽく,色素沈着しやすい肌。下肢静脈瘤やイボ痔がある)。快眠快食快便もしくはやや便秘。声が大きく,はっきりと話す。目に力がある。体格ががっしりしている。コルセットやガードルで体をしめつけている者が多い。

*瘀斑:舌の辺縁に点状のシミのような紫色斑が現れること。

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