運動機能や体力は加齢に伴って減衰する。しかし,その進行は遅くすることが出来る
労働現場における高年齢労働者の大敵は転倒,転落・墜落災害といえる
開眼片足立ち時間の長短は転倒,転落・墜落災害のリスクの指標となる
高年齢労働者の安全確保は運動習慣の形成,睡眠バランスの確保,過重労働防止が重要
職場での腰痛防止は5つの不自然な作業姿勢をなくすことから始める
2018年における65歳以上の労働力人口は3549万人であり,2008年と比べると739万人も増加している。2018(平成30)年版高齢社会白書によると,65~69歳男性労働者の割合は54.8%で半数以上が働いている。そして,60歳以上の労働者の約8割が高い就労意欲をもっていると報告されている。
2017年における主な産業別の高年齢労働者数では,「卸売業,小売業」が125万人で最も多く,ついで「農業,林業」が99万人,「製造業」が92万人,「サービス業(他に分類されないもの)」が91万人の順であった。以上から,高年齢労働者が多く働いているこれらの業種の職場環境整備が急務と考えられる。とりわけ,労働災害が比較的に発生しやすいと言われている介護施設,製造業,サービス業等に対しては下記の6項目を優先的職場改善対象として取り組むことが推奨される。
①転倒事故,②転落・墜落事故,③5つの不良作業姿勢(a腰が高い,b腕を長く伸ばす,c体の傾きが深い,d背が丸い,e急に体をねじる),④重量物の取り扱い,⑤熱中症,⑥老視と視環境。