1980年に山本巌が「東医雑録(1)」で,人間を「ヒバリ型体質」(交感神経優位型)と「フクロウ型体質」(副交感神経優位型)に大別して,その特徴を記載している1)。
ヒバリ型体質は朝から元気で朝食も入り,1日中元気に頑張れる。夜の睡眠も問題ない。
一方,フクロウ型体質(以下,フクロウ型)は,朝から寝起きが悪く朝食も入らず,無理して食べると胃がつかえる。遅刻の常習者となり不登校になることもある。昼から徐々に元気になり夜はとても元気で,「明日は学校に行く」と張り切っても,翌朝にはダウンしている。倦怠感,めまい,立ちくらみ,物音に敏感で動悸がするなどの症状も認める。西洋医学的には不定愁訴症候群,適応障害,睡眠相後退症候群などと診断されることがある。
このようなタイプには苓桂朮甘湯が著効する。苓桂朮甘湯は図に示すように茯苓,桂皮,蒼朮,甘草の4味で構成される。それぞれの生薬には薬能があり効果を示す。
桂皮は末梢血管拡張作用,軽度強心作用,抗不安作用,茯苓・桂皮・甘草は心悸亢進(動悸)を鎮める作用,茯苓・蒼朮・桂皮は水分を吸収して排泄する作用を有する。保険適応病名は神経質,ノイローゼ,めまい,動悸,息切れ,頭痛である。
著者らはフクロウ型に苓桂朮甘湯が適応になる症例を報告2)し,長期的未治療のフクロウ型で起立性調節障害を併存する症例にも効果を示すことを報告した3)。