株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【文献 pick up】首周囲径が冠動脈石灰化スコアと正相関―中国大規模観察/Atherosclerosis誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2023-08-29

最終更新日: 2023-08-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

冠動脈石灰化スコア(coronary artery calcification score:CACS)は冠動脈イベントリスクと正相関するため非常に有用な予知因子だが[Elias-Smale SE, et al. 2010]、簡便に測定できるわけではない。しかし頸部の周囲径が、このCACSと相関している可能性が明らかになった。首周囲径はさらに心血管系転帰とも相関していた。8月17日、Atherosclerosis誌で中国・山東大学のPeiqing Tian氏らが報告した

同氏らが解析対象としたのは、中国単施設に搬入された60歳以上の急性冠症候群(ACS)例中、退院前に冠動脈CT血管造影(CCTA)にてCACSを評価していた連続登録867例である。

平均年齢は71.5歳、男女はほぼ同数だった。約7割が高血圧、7割弱が脂質異常症、6割強が糖尿病を合併していた。

BMIは男性が29.0kgm2、女性が27.1kgm2だった。首周囲径平均値は男性37.8cm、女性35.4cmだった。

これら867例を対象に、首周囲径とCACSの相関、さらに首周囲径と心血管系転帰との関係を検討した。

その結果、「首周囲径」四分位群が上がるに従い「CACS」も有意に高値となっていた。

なお四分位群ごとの首周囲径平均値(cm)は下から「33.6」、「36.8」、「38.7」、「40.5」である。

同様に「首周囲径」四分位群が上になるほど、石灰化病変重篤度も上昇していた。

すなわち、まず「石灰化病変の数」が「首周囲径」四分位群上昇に伴い有意に増えていた。

さらに、石灰化病変を1枝に認めるリスク(補正後オッズ比)も、「首周囲径」四分位「最小」群に比べ「第2四分位」群では1.13、「第3四分位」群1.33、「最高」群は1.75へと有意に上昇していた。

「2枝」、「3枝以上」で石灰化を認めるリスクも同様の傾向を示した。

次に「ACS再発・緊急入院」との関連を見ると、やはり「首周囲径」四分位群が高くなるほどリスクは有意に高くなっていた。興味深いことに「非致死性脳卒中」も同様だった(観察期間中央値:35.3カ月)。

本研究は複数の行政組織から資金提供を受けた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top