株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

睫毛内反[私の治療]

No.5207 (2024年02月10日発行) P.45

小久保健一 (横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科部長)

登録日: 2024-02-12

最終更新日: 2024-02-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 睫毛内反症(epiblepharon)は,アジア人の小児の46.0~52.5%に起こる疾患であるが,2歳で20%,5~6歳で7%,10歳で2%程度まで有病率は低下する。これは経年で中顔面の成長が起こるためである。一般的には,下眼瞼内側1/3~1/2に両側性に生じることが多い。病態としては,筋肉から皮膚への穿通枝が脆弱化しているため,睫毛付近の余剰皮膚と眼輪筋が瞼縁に乗り上げ,睫毛が眼球側に誘導され角膜や結膜を刺激する。それにより流涙,眼脂,羞明,異物感,眼痛,角膜上皮障害などの症状が起こる。病名が似ているので混同されることが多いが,老人の罹患がメインである眼瞼内反(entropion)とは異なる疾患である。

    ▶診断のポイント

    小児は自分で「まつげが当たって痛い」とは主張しないため,両親の「よく目をいじっている」「まぶしそうに見える」「白目が赤い」などといった訴えが受診のきっかけとなる。睫毛が眼球側に倒れていることを確認して診断する。ほとんどは下眼瞼の睫毛内反であるが,中には上眼瞼の睫毛内反もある。高齢者の上眼瞼睫毛内反は,皮膚弛緩により皮膚が睫毛の上にかぶさることで生じる。また,ダウン症候群の患者などでは上下眼瞼の睫毛内反を認めることもある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    角膜上皮障害が軽度で,視機能障害を認めない場合には,ヒアルロン酸ナトリウム0.1%点眼液などの角膜保護剤で10歳頃まで経過をみて自然治癒を期待する。しかし,それ以外の症例では手術が必要となることが多い。

    残り995文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top