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(10)Ⅱ オラ・ドローム─口腔粘膜でわかる内科疾患[特集:皮膚病変でみる内科疾患]

No.4887 (2017年12月23日発行) P.44

神部芳則 (自治医科大学歯科口腔外科学講座教授)

岡田成生 (自治医科大学歯科口腔外科学講座)

登録日: 2017-12-23

最終更新日: 2017-12-19

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  • 口腔粘膜には様々な原因でびらん,潰瘍が生じる。局所的な原因が多いが,全身的疾患の部分症や初発症状として生じることも稀ではない

    びらんや潰瘍を認めたら,まず歯および歯の詰め物,かぶせ物(インレー,クラウン,ブリッジ),義歯との関連がないかを確認し,関連が疑われた場合は歯科に対診する。一般的には限局した病変は局所的原因によることが多く,多発性や広範囲に及ぶ病変は全身疾患に関連することが多い

    びらんや潰瘍面の性状,周囲組織の状態から炎症性か腫瘍性かを判断する。周囲に硬結を触知する場合は,悪性腫瘍の可能性がある。ステロイド含有軟膏を処方して2週間で改善しなければ生検を考慮する

    症 例

    70歳,女性。主訴:左舌背部の潰瘍(図1)


    【既往歴】 貧血,心不全
    【現病歴】 ‌約1年前に腰部,大腿部の疼痛のため歩行困難となり,下腿浮腫も出現した。近くの内科を受診し,低アルブミン血症,CRP高値が判明し,アルブミン製剤,抗菌薬,利尿薬の投与が開始された。半年前には舌の疼痛が出現し,鎮痛薬を内服していた。その後,両下腿の浮腫が増悪したため,膠原病の精査を行ったが診断に至らなかった。さらなる全身精査のために当院総合診療内科を受診し,舌の腫脹,疼痛に対して精査,加療目的に当科に紹介受診となった。
    【全身所見】 ‌身長160cm,体重59kg。栄養,体格ともに中等度で,四肢の強い痺れを訴え,両下腿の著明な浮腫により歩行は困難で,移動は車いすであった。

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