編集: | 西垂水和隆(今村総合病院救急・総合内科臨床研修部長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 380頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2024年09月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-1372-5 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
好評巻『jmedmook62 日常診療でここまでできる!診断につながる病歴聴取』が書籍化!
◉病歴聴取のワザと工夫をわかりやすく紹介するというコンセプトはそのまま,改訂を経てより洗練された内容にパワーアップ。A5判のコンパクトサイズとなり,これまで以上に臨床で活用しやすい書籍となりました。
◉第2章の主訴別各論には,意識消失・咳嗽・関節痛をはじめとした10項目を新たに設け,内容がさらに充実。各項目末のリアルな症例紹介も大幅追加しています。
◉そもそも病歴をどのようにとり,語られた病歴をどのように活かすか…経験豊富な達人たちの心がけ・診断を導く思考を余すことなく言語化した,臨床医必携の一冊です。
第1章 診断につながる病歴聴取
A 患者と話す前に
1 病歴の重要性
2 病歴を聞く前の準備
3 問診票について―問診票・バイタルサインからわかる情報
4 患者が一言目を話す前にわかること
B 定番の質問をより詳しく
1 O:いつから始まりましたか?
2 P:増悪因子/寛解因子―どうしたら悪く/楽になりますか?
3 Q:表現するとどのような感じですか?
4 R:他にどのような症状がありましたか?どこか別の場所も痛みますか?
5 S:程度はどれくらいですか?どのような状況で起こりましたか?
6 T:どれくらい続きますか?悪くなっていますか?
7 繰り返す疾患―こういうことは初めてですか?
C ルーチンの質問では何がヒントになるか?
1 既往歴
2 生活歴・家族歴
3 薬剤歴
4 旅行・曝露・動物など
D 疾患が浮かばないとき
1 Nature:何系の疾患?―病歴から予測する
2 Site:内臓?内臓外?―臓器別の特徴
3 よくわからない症状,あまり聞いたことのない症状
4 メンタル系の疾患?と思うとき
E 病歴を診断に使うために整理する
1 主訴は何か?―外せる病歴,外せない病歴
2 病歴をまとめてstoryをつくる
第2章 主訴別の問診を取るべきポイント
1 発熱―感染症か非感染症かを見きわめるポイント
2 食欲低下―器質的疾患かどうか
3 胸痛―心疾患
4 息苦しい
5 倦怠感
6 体重減少
7 悪心・嘔吐―消化器症状かそれ以外か?
8 腹痛
9 頭痛
10 ふらつき
11 浮腫
12 意識消失
13 腰背部痛
14 しびれ
15 動悸
16 咳嗽・痰・血痰
17 排尿障害
18 立ち上がれない
19 意識が悪い
20 関節が痛い
21 リンパ節が腫れている
研修医時代に患者から一通り話を聞いてもさっぱりわからなかったときに,上級医が改めて病歴を取り直すと,「さっきはそんなこと言ってなかったのに…」というような重要なことを患者が語ることがよくあり,「何で自分のときにはそれを言わないのか…」と患者のせいにしていた。また,ベテラン医師は山のように外来をこなしているのに,ほとんど間違いがないことが不思議であった。患者の話など聞いていないように見えるが,定期の患者でもきちんと問題点を拾い上げていて,予定外入院などは少なかった。
この正確さとスピードのある病歴聴取には明らかにコツがあるのだろうが,医療技術は伝統工芸などと同じく,先輩や患者から毎日少しずつ学び,染み込むようにしてしか覚えられず,また各人にそれぞれ流儀が生まれてくるものであり,画一的なやり方はない。ただ,ベテラン医師に共通しているのは,患者に会った瞬間から見た目で多くの情報を得て,数回の会話で鑑別診断が浮かんでいて(しかもそれが大体正解),それを効率よく病歴聴取で絞り込んでいるということで,単に病歴を聴いているだけではないということである。
病歴聴取と身体診察で8~9割の診断ができると言われても,これだけ検査の多い現代では実感できないこともあるだろう。しかし,病歴をしっかり取らなかったばかりに誤診したり無駄な検査・治療をしてしまったことは皆経験があるだろうし,検査で異常の出ない疾患では当然病歴で診断するしかない。また「治療は病歴から」という格言があるように,きちんと行われれば病歴聴取そのものに治療効果があることも間違いない。
このように病歴聴取の大切さが強調されている一方で,各論として聞くべきポイント的な記載は多くみられるものの,そもそも病歴をどのようにとり,語られた病歴をどのように活かすかなど,その方法を総論として述べている書籍は少ない。
そのため今回,病歴聴取に重きを置いている先生方に,少しでもコツを教えてもらいたいとお願いして執筆して頂いた。過去に同様の書籍が少ないため参考文献はほとんどなく,文献的な裏付けはないものの,臨床的な裏付けがあると思って頂きたい。そして,病歴聴取と見た目の所見に少しでも興味を持って頂きたい。
なお,本書は2019年発行のjmedmook 62「日常診療でここまでできる!診断につながる病歴聴取」の書籍化であり,全体的な見直しと各論の拡充が行われている。書籍化に至ったのは,前書が多少売れたからと日本医事新報社から連絡を頂いたからであるが,その多くは自前の病院で買ってもらったということは伝えていない。
2024年8月
今村総合病院救急・総合内科臨床研修部長 西垂水和隆