編著: | 味澤 篤(東京都保健医療公社豊島病院 副院長) |
---|---|
判型: | B5判 |
頁数: | 268頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2014年08月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-5494-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
1. 総 論
1. HIV感染症/AIDSの経過
2. 検 査
2. HIV感染症/AIDSで問題となる長期合併症
1. 内分泌疾患
1)糖尿病
2)脂質異常症
2. 腎疾患
1)慢性腎臓病(CKD)
2)高血圧症
3. 心血管疾患
1)虚血性心疾患
2)脳梗塞
4. 骨疾患(骨代謝異常)
5. 口腔ケア
6. 肝疾患
1)B型肝炎
2)C型肝炎
7. 非AIDS指標悪性腫瘍
8. 精神障害
9. 薬物乱用・依存
10. 禁煙指導
3. AIDSに合併する主な疾患・状態
1. 真菌疾患
1)ニューモシスチス肺炎
2)カンジダ症
3)クリプトコッカス症
2. 細菌疾患
1)結 核
2)播種性マイコバクテリア・アビウム症
3)サルモネラ菌血症
3. 原虫疾患
1)トキソプラズマ症
2)クリプトスポリジウム症
3)イソスポラ症
4. ウイルス疾患
1)サイトメガロウイルス感染症
2)単純ヘルペスウイルス感染症
3)進行性多巣性白質脳症
5. 腫 瘍
1)AIDS関連悪性リンパ腫
2)カポジ肉腫
6. HIV関連神経認知障害
4. その他
1. HIV感染者とワクチン接種
2. 曝露後予防
(1)先進国で治療を受けているHIV感染者の多くは,日和見感染症で死亡する。
(2)HIV感染者の糖尿病発症率は,非HIV感染者と変わりがない。
(3)HIV感染者の骨粗鬆症は,非HIV感染者同様,女性に多い。
どうでしたか? 実は上記はいずれも正しくありません。
確かに抗HIV療法(ART)の進歩でHIV感染者の予後は改善しました。米国での報告によると,HIV感染症と診断されてから早期にARTを開始した群の平均余命は,非HIV感染者と変わりがないと言われています。しかしHIV感染者における医学的な問題点がなくなったわけではありません。現在,内分泌疾患,腎疾患,心血管疾患,骨疾患,肝疾患など,非HIV感染者と同様の様々な長期合併症が問題となっており,それに伴う死亡例が増加してきています。長期合併症は,(1)HIV感染自体,(2)HIV合併感染症,(3)HIV感染者のライフスタイルなどによって,非感染者よりも高率に引き起こされると考えられています。したがって,その解決にはHIV感染症/AIDS診療に関わる多くの医療者の協力が不可欠です。HIV感染症/AIDS診療を受けている患者に生じたこれら長期合併症に,まずどのように対応するべきなのか,どの時点で専門医に相談したらよいのか,また合併症自体の最新知識はどうなっているのかについて,診療に関わる主治医およびチーム医療者が知っておく必要があります。
本書は「総論(HIV感染症/AIDSの経過,検査)」「HIV感染症/AIDSで問題となる長期合併症」「AIDSに合併する主な疾患・状態」「その他(HIV感染者とワクチン接種,曝露後予防)」から構成され,長期合併症の問題に加えて,HIV感染症の検査,よくみられるAIDS疾患・状態,ワクチン接種,曝露後予防など,HIV感染症/AIDS診療全体を通して必要な最新情報が記載されています。
各領域については実際にHIV感染者の診療にあたっている先生方にご執筆の労をとっていただきました。ある意味で,私が昨年度まで勤務したがん・感染症センター都立駒込病院の30年間にわたるHIV感染症/AIDS診療のエッセンスを結集したもので,長期に診療を行っていくと必ず遭遇する様々な問題の解決に役立つものと確信しています。HIV感染症/AIDS診療に関わる主治医だけでなく,看護師,薬剤師,医療相談員,カウンセラーなどの多くの職種の方にとっても,今後のHIV感染症/AIDS診療で取り組むべき方向性がわかるガイドになることでしょう。
多くの医師や医療スタッフの方が,本書を活用して参考にして頂ければ幸いです。