編著: | 谷脇雅史(京都府立医科大学名誉教授,分子診断・治療センター特任教授) |
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編著: | 横田昇平(京都府立医科大学血液内科学客員講師) |
編著: | 黒田純也(京都府立医科大学血液内科学教授) |
判型: | AB判 |
頁数: | 880頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2016年08月15日 |
ISBN: | 978-4-7849-4082-0 |
版数: | 第5版 |
付録: | - |
第1版から続く「形態、免疫、染色体」に力点をおく基本理念を継承しながら、ゲノム・エピゲノム医学、分子標的療法、造血幹細胞移植、免疫細胞療法などにおける最新知見を盛り込んだ、7年ぶりの全面改訂!
造血器腫瘍のWHO分類2016年版の知見にも対応し、ゲノム研究、免疫チェックポイント阻害薬や遺伝子改変T細胞療法の開発など、ますます進歩する血液学の臨床と基礎を徹底網羅。
800点を超える図表と写真を掲載し、血液学にかかわる医療者必携の1冊です。
序 文 第5版
「造血器腫瘍アトラス」(第1版)は,阿部達生京都府立医科大学名誉教授の編著によって1988年に出版された。メイ・ギムザ染色による芽球の細胞形態を基本としたFAB分類に,免疫学的形質と染色体所見を組み込んだ白血病の診断と分類を意図したものであった。今日,形態,免疫,染色体,遺伝子に重点をおいたWHO分類が血液腫瘍の診療に大きく貢献している状況をみれば,本書の第1版が先見性のある図書であったことを改めて認識することができる。
小冊子として出版された第1版は,版を重ねるごとに内容が豊富になり,頁数を増してきた。分子細胞遺伝学,造血幹細胞とサイトカインによる造血調節,分子標的治療薬の開発など進歩する領域の新知見を,阿部名誉教授が改訂のたびにいち早く取り入れられたためである。
第3版からは,図譜という枠組みから離れ挑戦的な内容になった。対象となる読者を,血液学を志す学生,大学院生,臨床医,研究者,技術者と拡大したためである。その方向性は第4版へと受け継がれ,そこから7年,初版からは約30年を経過して出版される改訂第5版は,図表を駆使した造血器腫瘍学の成書として,進化した「造血器腫瘍アトラス」となった感がある。わが国における血液学の診療と研究を牽引する先生方に多数ご参画を頂いた賜物である。
近年の血液学の進歩は著しく,ゲノム研究では次世代シーケンサーによって発見される数々の遺伝子変異,免疫療法の分野では免疫チェックポイント阻害薬と遺伝子改変T細胞療法の開発など,医学の進歩はとどまるところを知らない。
今回の改訂にあたっては,21世紀にはいってますます進歩する血液学の臨床と基礎を網羅する一方で,図表を駆使して理解を容易にすることを心がけた。その内容は,形態(morphology),免疫(immunology),染色体(cytogenetics)に力点をおく基本理念を継承しながら,ゲノム・エピゲノム医学,分子標的療法,造血幹細胞移植,免疫細胞療法などにおける最新の知見を盛り込んだものとなっている。また,WHO分類2016年版の公表がせまる中,わが国を代表して改訂に参加された研究者から情報を頂き,該当部分をご担当の先生方には急遽修正のお手間をお願い申し上げた。臨床,教育,研究に多忙を極められるなか,ご快諾を頂きすばらしい内容として頂いた。
血液学に関わるあらゆる分野の読者に活用して頂ければ幸いである。
恩師阿部達生名誉教授のご指導により,本書を改訂することができた。
2016年7月
谷脇雅史,横田昇平,黒田純也
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
このたびは『造血器腫瘍アトラス第5版』をご購入いただきまして誠にありがとうございました。
本書に下記の誤り・変更がございますので,訂正するとともに,謹んでお詫び申し上げます。
頁 | 誤 | 正 |
14頁 図51 図タイトル・ 解説 |
図51 破骨細胞(osteoclast) 前立腺癌の骨髄転移症例の骨髄で認められた。骨髄癌腫症で,骨の新生や破壊があるときに出現するとされる。周囲の赤血球と比較すると明らかなように,途方もなく大きな多核細胞である。細胞質は微細顆粒状を呈して周辺不明瞭である |
図51 多分葉核を示す巨核球(megakaryocyte) 正常骨髄にみられる多核の大型細胞には巨核球と破骨細胞(osteoclast)が含まれる。前者は核同士が核糸でつながる多分葉核で,図16のように細胞質に血小板を認めることも多い。これに対し破骨細胞では孤立した多核を呈し,不鮮明な細胞質内には粗大顆粒がみられる |