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投球障害肩の病態とその治療・リハビリテーションについて

No.5083 (2021年09月25日発行) P.50

森平 泰 (獨協医科大学医学部整形外科学准教授)

船越忠直 (慶友整形外科病院・慶友肩関節センター長)

登録日: 2021-09-26

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  • 近年,高校野球大会で故障を防ぐためにエースを登板させなかったことが物議を醸すなど,球数制限の必要性が認知されてきています。投球障害肩の病態とその治療・リハビリテーションについて,最近のトピックを教えて下さい。
    慶友整形外科病院・船越忠直先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    森平 泰 獨協医科大学医学部整形外科学准教授


    【回答】

    【投球障害肩は関節内外の病態があり正確な把握と治療が重要である】

    投球に関連する肩関節障害の病態は様々です。上肢の大きな可動域を得るために複数の関節(肩甲上腕関節,肩鎖関節,肩甲胸郭関節)が関わり,軟部組織により動的・静的安定性(腱板,関節包靱帯)を得る構造になっています。しかし,複数関節にわたる軟部組織の3次元的な病態解析は非常に困難であり,このため他関節に比べると,病態解明,正確な診断,適切な治療選択が難しいと言えます。残念ながら投球頻度,強度と肩関節障害の関連についての科学的根拠はまだ乏しく,スポーツの現場を納得させられる回答を用意できていません。

    いわゆる肩関節と言われる肩甲上腕関節における病態には,不安定症,拘縮,炎症,腱板断裂,関節唇損傷などがあります。明らかな外傷歴のない若年で高いレベルの競技者の多くは,関節窩後上方と腱板関節面が挟み込まれる「インターナルインピンジメント」と呼ばれる病態が主な原因と考えられています1)2)。繰り返す微小外力による前方不安定症3),もしくは後方関節包拘縮2)により生じるとする説があります。関節唇損傷はSLAP損傷(superior labrum anterior and posterior injury)4)として外科的治療の対象になることが多い疾患名です。

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