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シャルコー関節(神経病性関節症)[私の治療]

No.5091 (2021年11月20日発行) P.43

関 広幸 (立川病院整形外科医長)

登録日: 2021-11-20

最終更新日: 2021-11-16

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  • シャルコー関節(神経病性関節症)は,明らかな重度な外傷がなく,関節破壊や病的骨折を生じる疾患で,足部・足関節に好発する。その病態生理は明らかではないが,末梢知覚神経障害による疼痛閾値の低下と,自律神経障害に起因する微小循環障害による骨脆弱性を背景に,微小外傷が繰り返し加わることで発生すると考えられている。原因疾患は,糖尿病性末梢神経障害が最も多く,神経梅毒,脊髄空洞症,二分脊椎,アルコール性末梢神経障害,シャルコー・マリー・トゥース病,先天性無汗無痛症,特発性神経障害なども知られている。

    ▶診断のポイント

    急性期は,腫脹・発赤・熱感を伴う。急性期は,蜂窩織炎として見逃されることも多いので,単純X線上の関節破壊像や骨増殖像を適宜確認する。慢性期は,足部・足関節の変形や,変形に伴う潰瘍を認めることもある。変形の割に痛みがない症例も多いことには十分に留意する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    Eichenholtzの進行分類により治療方針を検討する。ステージ0では,関節周囲に腫脹・発赤・熱感を呈するが,単純X線では明らかな所見を認めず,MRIで骨髄浮腫を認める。ステージ1になると,腫脹・発赤・熱感とともに,単純X線で骨吸収像・骨片・骨折を認める。ステージ2は,腫脹・発赤・熱感は減退し,単純X線で骨硬化像・骨片の吸収を認め,MRIでの骨髄浮腫像が消退する。ステージ3では,腫脹・発赤・熱感は消失し,単純X線で関節破壊・関節変形などを認める。急性期であるステージ0~2では,患部の負荷を軽減し,変形の進行や骨折の発生を抑えることを目的とした保存療法を行う。ステージ3で,関節不安定性により歩行障害をきたしている場合や,潰瘍を繰り返している場合に,手術療法を行う。

    局所の治療と同時に,糖尿病と体重のコントロールを行うことは非常に重要である。保存療法,手術療法ともに,潰瘍形成が治療の遅れや予後増悪につながるので,皮膚観察を頻繁に行う。特に,ステージ3で明らかに潰瘍リスクが高い変形をきたしている場合は,可能であれば,潰瘍ができる前に早急に手術を検討したほうがよい。しかし,変形に伴う感染性潰瘍がある場合は,内固定による手術療法は禁忌となる。

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