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子ども虐待死の防止 ─ 医療機関が果たせる役割がある [お茶の水だより]

No.4822 (2016年09月24日発行) P.13

登録日: 2016-09-23

最終更新日: 2016-10-12

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▶2014年度に虐待で死亡した18歳未満の子どもに関する検証結果を厚労省の専門委員会が報告書にまとめ、16日に公表した。無理心中以外の虐待死は44人に上り、0歳児が6割を超えた。44人の母親が抱えていた問題は、「望まない妊娠」が54.5%と最も多かった。
▶子ども虐待の防止対策として、医療機関に関わる法改正が行われている。1つは今年10月から施行される改正児童福祉法だ。若年や望まない妊娠、精神疾患など支援を要する妊婦や、不適切な養育状態にある児童を把握した医療機関は、市町村に情報提供するよう努めることとされた。自治体の支援につなげることが目的だ。この場合、刑法の秘密漏示罪の規定や守秘義務に関する法律の規定は、情報提供を妨げないことが法律に明記された。
▶法改正を受けて報告書は医療機関に対し、職員全員に虐待の対応を周知することや、院内の虐待防止委員会などを活用した組織的対応を行うなどの体制整備を求めている。
▶もう1つの法改正は、来年4月施行の「子育て世代包括支援センター」の設置だ。市町村の努力義務として母子保健法に法定化された。医療機関や保健所、児童相談所など関係機関が連携し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を展開することとされている。
▶子ども虐待を防止するためには、妊娠期からの支援が重要であることが今回の検証で特に浮き彫りとなった。子どもを虐待から救うために、医療機関が果たせる役割がある。妊娠期からの虐待リスクにこれまで以上に着目することなどにより、医療機関が少しでも悲劇の芽を摘みたい。

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