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パンデミック下の認知症医療・介護は地域包括ケアで対応を[長尾和宏の町医者で行こう!!(133)]

No.5117 (2022年05月21日発行) P.58

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2022-05-18

最終更新日: 2022-05-17

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認知症はさらに増える

2022年1月6日付けのランセットの姉妹誌「ランセット・パブリック・ヘルス」に「このまま対策を取らないと世界の認知症患者数は、2019年の5700万人から50年までに1億5300万人と、約3倍に増加する」という予測が掲載された。日本においては生活習慣病の啓発が進んでいるので分析の対象国の中では最も増加率が低いとされている。それでも、412万人から約1.3倍の524万人になると予想している。

コロナ前から認知症の増加が報じられ、様々な対策が練られてきた。しかしコロナ禍が2年以上続いている現在、町医者の日常診療において認知症の増加は、かつての予測よりも加速しているように感じる。その理由として、①過度な自粛によるフレイルの増加、②歩行やカラオケなどの機会の減少、③他者とのコミュニケーションの機会の減少、④介護サービス利用の減少、⑤生活習慣病の悪化、⑥医療介入の機会の減少、などが考えられる。

要介護5で寝たきりの認知症の人も自宅でずっとマスクをしている。余命いくばくもない在宅患者さんも「コロナが怖い」と言われる。あらためてテレビの情報番組の影響力の大きさを思い知らされる。しかしコロナ禍で忘れられているのが認知症の人への配慮や対策ではないのだろうか。一般的なコロナ対策はもちろん大切だが、国家的課題である認知症対策をそろそろ思い出し、両者を上手に重ね合わせる議論をする時だろう。コロナ収束後の日本社会を想定して動かないと医療システムが混乱する。

市民は薬物療法に期待するが、根治的な抗認知症薬はまだ開発されていない。最も重要なのは認知症の方の笑顔であり、啓発すべきは「ユマニチュード」だろう。

※ユマニチュードはフランスの2人の体育学の専門家が開発したケアの技法。日本では2012年から導入。

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