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糖尿病の食事療法[私の治療]

No.5238 (2024年09月14日発行) P.48

山田 悟 (北里大学北里研究所病院院長補佐/糖尿病センター長)

登録日: 2024-09-13

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  • 糖尿病とはインスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群である。その治療においては,血糖,血圧,脂質代謝の良好な管理と適正体重の維持,禁煙の遵守が求められる。

    ▶診断のポイント

    空腹時血糖値(FPG)126mg/dL以上,75g OGTT 2時間値200mg/dL以上,随時血糖値200mg/dL以上,HbA1c 6.5%以上の4項目のいずれかが確認されると糖尿病型とされ,別の日の検査で再確認できれば糖尿病と診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    糖尿病と糖代謝異常の成因分類として1型糖尿病,2型糖尿病,その他の特定の機序・疾患による糖尿病,妊娠糖尿病があるが,いずれにも(エネルギー制限を意識しない)ゆるやかな糖質制限食を指導している。食後高血糖をきたす栄養素は基本的に糖質のみだからである。

    わが国ではエネルギー制限食のみが推奨されて久しいが,エネルギー制限食では血糖改善はおろか体重減量(正確には減量された体重の維持)すら保証できない。

    米国糖尿病学会は2019年に,糖質制限食を最も血糖管理に根拠のある食事法とし,ゆるやかでも極端でも有効であるとしたが,欧州糖尿病学会は2023年に,地中海食・ノルディック食・低GI食を是とする一方で,ケトン産生食(極端な糖質制限食)を推奨しないとした。確かにケトン産生食ではリバウンドが生じやすく,ゆるやかな糖質制限食よりも治療成績が悪いという報告がある。ゆるやかな糖質制限食のみを推奨すべきであろう。なお,地中海食やノルディック食のHbA1c改善効果についての検証は世界的にも不十分であり,わが国での現時点での推奨は難しい。

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