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バーター(Bartter)症候群[私の治療]

No.5244 (2024年10月26日発行) P.32

野津寛大 (神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野教授)

登録日: 2024-10-24

最終更新日: 2024-10-22

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  • バーター症候群(Bartter syndrome:BS)は低カリウム血症,代謝性アルカローシスなどを特徴とする先天性尿細管機能異常症に伴う症候群である。主に太いヘンレループに発現するチャネルまたは輸送体の機能異常で発症する。BSは臨床的には,新生児期に発症する重症型の新生児型BSと,乳幼児期に発見される比較的軽症型の古典型BSに分類される。
    近年の分子生物学の進歩に伴い,1~5型BS〔OMIM(online mendelian inheritance in man)1型:601678,2型:241200,3型:607364,4型:602522,4b型:613090,5型:300971〕に分類される。近年は,BSおよびギッテルマン症候群(「ギッテルマン症候群」の稿参照)を1つの疾患概念ととらえ,遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症(salt-losing tubulopathy:SLT)と総称する傾向にある。

    ▶診断のポイント

    低カリウム血症,代謝性アルカローシスを呈し,利尿薬,緩下薬の常用,食思不振など二次的要因を伴わないことでBSを疑い,遺伝学的検査を行うことで確定診断する。1型,2型,4型は出生前より羊水過多を呈し,早産・低出生体重を認める。特に4型は最も重症で,水分や電解質のコントロールに難渋するとともに,重症の先天性難聴を伴う。5型は著明な羊水過多を呈するが,出生後は症状が消失し,以降は健常に発育する。3型は幼児期以降に体重増加不良などで発見される最も軽症型であり,ギッテルマン症候群との鑑別を要する。

    臨床症状として多飲多尿,体重増加不良,食塩嗜好,成長障害,腎機能低下,倦怠感などを呈する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    低カリウム血症に対するカリウムの補充が基本である。さらに3型BSで低マグネシウム血症を伴う場合は,マグネシウムの補充を行う。電解質異常の補正が困難な場合や,成長障害,日常生活に支障をきたすような倦怠感,活動量の低下などを認める場合は,イブプロフェンによる治療を行う。

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