ウイルス性疣贅は,ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)が皮膚・粘膜に感染して生じる良性腫瘍である。特殊な例(疣贅状表皮発育異常症等)では発がんの原因となりうる〔「ボーエン様丘疹症(ボーエン病)」「伝染性軟属腫」は別稿参照〕。
角化が著明で表面粗糙な直径10mmまでの皮膚結節を呈する。有棘細胞癌の鑑別を念頭に置く。以下,代表的な病型について述べる。
多くはHPV2aの感染による。
〈典型例〉
手足に好発する。数mm~10mm大の角化性結節で徐々に増大・増加する。表面を削ると点状の出血点を認める。脂漏性角化症,胼胝腫,鶏眼等を鑑別する。
〈非典型例〉
①指状/糸状疣贅
顔面・頸部に生じ,外方向性に増殖する。指をすぼめた形状,細長く先端がとがった形状をとる。
②爪部疣贅
爪周囲に生じ,難治で疼痛を伴う。爪甲の下から塊状に隆起することもある(爪甲下疣贅)。
③足底疣贅
加圧により疣贅が内方向に増殖し,難治である。
HPV1aの感染による。小児の足底に好発し,単発性に蟻塚状病変を形成する。
多くはHPV3の感染による。青壮年の顔面・四肢に好発し,わずかに隆起した褐色調の,円形から多角形の皮疹をなす。散在性,集簇性,線状に配列する(搔破によるケブネル現象)。脂漏性角化症,脂腺増殖症,稗粒腫,汗管腫,黄色腫を鑑別する。視診で診断が困難な場合は,皮膚生検とHPV遺伝子検索を要する。
HPV6/11の感染による。陰股部の皮膚粘膜移行部に好発し,乳頭状,鶏冠状を呈する。ボーエン様丘疹症,陰茎真珠様小丘疹,腟前庭乳頭腫症,フォアダイス状態と鑑別する。産道感染により,乳幼児の肛門周囲疣贅,再発性呼吸器乳頭腫症を生じることがある。
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