厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」は2月26日、特定機能病院のあり方に関するこれまでの議論の整理を大筋でまとめた。特定機能病院のうち、大学病院本院の機能を、「基礎的基準」と「発展的(上乗せ)基準」の2段階で評価することなどを盛り込んだ。次回以降より具体的な制度設計の議論に入る。
検討会は、特定機能病院のうち大学病院本院のあり方について先行して議論を進めてきた。大学病院本院はこれまで高度な医療提供などを主な役割としてきたが、高齢化が進み、医療従事者不足が加速する40年頃を見据えると、今後は広域を対象にした診療機能や医師派遣など、地域医療における役割をより積極的に果たすことが求められる。
このため、議論の整理は大学病院本院の機能を見直し、現在の「承認要件」を全ての大学病院本院が満たすべき「基礎的基準」として整理し、個々の大学病院本院が地域の実情も踏まえて自主的に実施している高度な医療提供・教育・研究・医師派遣に係る取り組みを「発展的(上乗せ)基準」によって評価、結果の公表を行うことを打ち出した。
このうち「基礎的基準」は、現行の承認要件を基本としつつ、(1)基本診療科の幅広い設置、(2)幅広い基本診療科の専門研修プログラムを基幹施設として担っていることや、地域の医療機関への学習機会の提供、(3)地域への一定の医師派遣の実施―などの項目追加を検討。
「発展的(上乗せ)基準」の評価項目は分野別で、①医療提供:複数の合併症を抱える症例や一定の重症度の救急症例を受け入れる等、地域の最後の砦としての機能を担っていることや、特に高度な医療(移植医療、ゲノム医療等)の実績、②教育:医師派遣と組み合わせ、医師を地域に循環させて教育を行う場合、③研究:研究実施体制、研究基盤等、④医師派遣:都道府県と連携した医師少数地域等への医師派遣の取組み等―などを想定している。
一方、大学病院本院以外の特定機能病院のあり方については、地域的な分布の現状や大学病院本院の果たすべき役割や機能を勘案しながら、検討を進めていくこととした。