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急性アルコール中毒[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.76

桑原正篤 (兵庫県災害医療センター救急部副部長)

登録日: 2021-05-03

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  • 急性アルコール中毒は,主にエタノールを大量に摂取し,意識障害や呼吸・循環障害をきたした病態である。多くは病歴や身体所見から診断可能である。時に致死的となることがあり,速やかな救急対応を要することがある。また,他の意識障害や外傷を合併していることもあり,注意が必要である。

    ▶病歴聴取のポイント

    本人からの病歴聴取は困難であることが多く,主に救急隊や同伴者から病歴をとることが多い。その際に患者発見時の状態をしっかり聴くことにより,隠れた外傷の発見につながることがある。また,意識障害を呈していることが多く,脳卒中や低血糖などの鑑別のためAIUEO TIPSを意識した病歴聴取が重要となる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    舌根沈下や嘔吐・誤嚥に伴う気道閉塞や呼吸の異常に注意する。また,末梢血管拡張や脱水に伴う血圧低下や頻脈を呈していることがある。季節によっては低体温を呈していることもあり,注意する。

    【身体診察】

    意識障害の鑑別をAIUEO TIPSで行う。脳卒中や低血糖などを併発している場合もある。瞳孔所見などのtoxidromeを参考に他の薬物中毒の除外をすることも重要である。
    また,外見上の外傷(特に頭頸部)の有無をしっかり診察する必要がある。見た目の外傷がなくとも救急隊や同伴者から病歴を聴取し,疑わしき病歴(階段の下で倒れていたなど)があれば,頭頸部CTなどで頭頸部外傷の除外を行う。
    診察に非協力的な場合もあり,暴言暴力を振るわれる可能性もあるため,注意する。

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