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ICT・IoTを用いた連携診療[私の治療]

No.5063 (2021年05月08日発行) P.75

中野一司 (ナカノ在宅医療クリニック理事長兼院長)

登録日: 2021-05-11

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  • 在宅医療専門のクリニックであるナカノ在宅医療クリニックを開業して20年以上が経過した(1999年9月開業)。開業当初,赤ひげ先生ではなく,在宅医療の“システム”をつくりたくて,ナカノ在宅医療クリニックを開業した。開業に当たっての当クリニックの開設理念を表に示す。開業当初の20年前に想定していた“多職種連携で機能する地域連携ネットワーク型在宅医療システム”は,今から考えれば,“地域包括ケアシステム”そのものであった。



    在宅医療は,地域社会資源を基盤においた多職種が連携するチーム医療である。チーム医療の質を上げるための要件としては,①良質な在宅医療システムの構築〔情報通信技術(ICT)を利用して,連携のコストを安くする〕,②各参加メンバー(参加施設)の質を上げる(教育環境の整備),の2点が重要であり,これまでICTをフル活用して,①良質な在宅医療システムの構築と,②教育環境の整備に努力してきた1)2)

    本稿では,ICTと在宅医療は相性が良く,在宅医療や多職種連携のチーム医療(地域包括ケアシステムの構築)を実践する上でのICT・IoT(Internet of Things)の有用性について述べる。

    ▶在宅医療とIo(M)T

    ありとあらゆる「モノ」がインターネットにつながり,相互に情報をやりとりする「IoT」(モノのインターネット)が近年,急速に拡大している。中でも医療やヘルスケアに特化した「IoMT」(Internet of Medical Things)には,医療コスト削減や収益性の改善などに貢献するとして大きな期待が寄せられている。

    在宅医療の分野では,血圧計や体温計,パルスオキシメータ,血糖測定器,心電図などの「モノ」をインターネットと接続し,患者の基本バイタル情報を蓄積,モニタリングして,活用できる。またZoomを使ったオンライン診療などで遠隔診療を可能にして,訪問診療や往診の診療(オフライン診療)を減らすことの利用が想定されている。

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