株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

尿路上皮癌に対する新規治療薬のenfortumab vedotinについて

No.5087 (2021年10月23日発行) P.55

江藤正俊 (九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野教授)

菊地栄次 (聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科学教授)

登録日: 2021-10-26

最終更新日: 2021-10-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 尿路上皮癌に対する新規治療薬のenfortumab vedotinについて教えて下さい。
    聖マリアンナ医科大学・菊地栄次先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    江藤正俊 九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 教授


    【回答】

     【転移性尿路上皮癌の三次治療として期待が持たれている】

    現在,転移性尿路上皮癌に対する一次治療としてシスプラチン・ベースの全身化学療法が強く推奨されています。そして一次化学療法後に再発または進行した場合は,二次治療としてペムブロリズマブが選択されます。さらに2021年2月以降,一次化学療法後に疾患進行が認められない場合には,維持療法としてアベルマブの使用が可能となりました。しかし,転移性尿路上皮癌に対する三次治療はいまだ存在せず,新たなタイプの薬物治療の開発が切望されていました。そのひとつに抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)があります。

    enfortumab vedotinは,細胞間の接着に関連するネクチン-4を標的としたADCの一種です。ネクチン-4は尿路上皮癌細胞に高発現しています。enfortumab vedotinは,このネクチン-4を介してがん細胞内に取り込まれ,殺細胞効果を有するmonomethyl auristatin Eを放出することで,がん細胞を死滅に導くと考えられています。

    残り665文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top