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口唇裂・口蓋裂[私の治療]

No.5090 (2021年11月13日発行) P.42

渡邊 章 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座准教授)

登録日: 2021-11-15

最終更新日: 2021-11-09

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  • 口唇裂・口蓋裂は約500人に1人の割合で発症し,日本で最も発症頻度の高い外表奇形である。口唇裂・口蓋裂は内側鼻隆起,外側鼻隆起,上顎隆起,下顎隆起が関与し,胎生4週頃からそれぞれの顔面隆起の癒合する際の不全によって発生する。また,その原因は,様々な遺伝子と多数の環境要因が絡み合って発症する「多因子遺伝病」とされている。

    ▶診断のポイント

    口唇裂と口蓋裂は発症の機序が異なり,裂型分類をわけて考えるのが一般的である。つまり,顎裂の有無にかかわらず,一次口蓋の披裂が口唇裂,二次口蓋の披裂のみが不完全口蓋裂もしくは口蓋裂単独にわけられる。口唇裂で披裂が外鼻孔に達しているか否かで完全裂,不完全裂,そして左右側,両側にわけられる。不完全口蓋裂では披裂が硬口蓋と軟口蓋に及ぶものを硬軟口蓋,軟口蓋のみのものを軟口蓋裂,そして,口蓋垂裂,粘膜下口蓋裂となる。一次口蓋から二次口蓋にわたる披裂は完全口蓋裂(唇顎口蓋裂)である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    口唇裂・口蓋裂の障害は,哺乳障害,美的障害,摂食障害,言語障害,構音障害,歯列不正,顔面の発育障害,滲出性中耳炎,呼吸器疾患,精神・心理障害などが挙げられる。出生直後から顎発育が終了した成人まで長期間にわたる一貫治療と,成長を考慮したチーム医療が重要である。

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