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イップスはメンタルの問題か? 職業性ジストニアについて

No.5090 (2021年11月13日発行) P.47

高橋浩一 (山王病院脳神経外科部長)

堀澤士朗 (東京女子医科大学脳神経外科)

登録日: 2021-11-15

最終更新日: 2021-11-11

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  • イップスはメンタルの問題か? 職業性ジストニアについてご教示下さい。
    東京女子医科大学・堀澤士朗先生にご解説をお願いいたします。

    【質問者】

    高橋浩一 山王病院脳神経外科部長


    【回答】

    【イップスはメンタルの問題ではなく,動作特異的な局所性ジストニアである】

    イップスは,医学的に正しく定義されている言葉ではありません。オックスフォード英語辞典では,「ゴルフ競技で,簡単なパットの失敗の原因となる神経質な状態」,研究社新英和大辞典では「精神集中の際に起こる痙攣・震え」と記されています。オックスフォードスポーツ医科学辞典ではより詳細に以下のように記されています。

    「無意識な筋活動の乱れでゴルファーにみられ,パッティング中に腕が痙攣するのが特徴で,処置が非常に困難である。症状を緩和させるために利き手側でないほうを使ったり,ポジションを変えたりするゴルファーもいれば精神安定剤を服用するゴルファーもいる」

    現在,イップスという言葉は,ゴルフ以外の様々なスポーツに転用されています。野球の送球イップス,テニスのサービスイップス,弓道の早気やもたれもイップスと言われています。イップスは,精神的な問題が原因と考えられてきた最大の理由が,「症状がある特定動作に限定して出現する」という特異性が精神的な要素と結びつけられやすいからです。この病態は,動作特異的局所性ジストニアを典型的に表しています。

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