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性器ヘルペス[私の治療]

No.5116 (2022年05月14日発行) P.45

髙橋 聡 (札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座教授)

登録日: 2022-05-14

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  • 性器ヘルペスは,単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)の1型または2型の感染によって,外陰部に水疱性病変もしくは潰瘍性病変を形成するウイルス感染症である。一般的に,初感染では症状の程度が強く,再感染では軽度である。性器ヘルペスでは,外陰部に感染したHSVが知覚神経を上行性に伝わり腰仙髄神経節に潜伏感染した後,刺激により再活性化され,知覚神経を下行して外陰部に病変を形成する。抗ヘルペスウイルス薬は病変や症状の軽快に有効であるが,潜伏感染したHSVを完全に排除することはない。このため,再発を繰り返すことが特徴であり,外陰部に病変を形成しない状態でもウイルスの排泄がありうる。

    ▶診断のポイント

    感染の機会の後に外陰部にかゆみ,違和感,痛みを伴った水疱が形成され,その後水疱が破れて融合し,痛みを伴う潰瘍となる。この状態を診察することで臨床診断は可能であるが,イムノクロマト法の抗原診断法によりHSV抗原を検出することで確定診断となる。免疫不全状態では,HSV感染が強く疑われる場合にreal-time PCR法での検査が可能である。

    初発では症状の程度が強いとされているが,不顕性感染の後に症状が出現した場合には非初感染初発と考えられ,発熱などの症状もみられず症状の程度も軽いとされる。同様に再発でも病変を形成するものの,症状の程度は軽い。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    抗ヘルペスウイルス薬は,内服および点滴静注により投与可能であり,病態や状態に応じて投与法を考える。目的は,HSV量を十分に減らすことである。

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