糖尿病人口の増加,超高齢化社会の到来で,糖尿病のために足に難治性潰瘍を有する(糖尿病性足潰瘍)患者が急増している。同疾患ではチーム医療が推奨されているが,これほど多くの診療科,職種にまたがり治療しなければならない疾患はほかにない。循環器内科,糖尿病内科,血管外科,腎臓内科,透析,形成外科などの診療科のほか,義肢装具士,理学療法士,作業療法士,看護師,介護士,医療ソーシャルワーカーなどが関わる必要がある。そして,いったん創傷を持ってしまえば,創傷治癒に多くの時間と労力を要し,創傷が治癒した後も再発予防に努める必要がある。創傷そのものは難治性であるが,病因と創傷の病態(神戸分類)を把握して初めて治療と予防が可能となる。糖尿病性足潰瘍の治療の目的は「歩行を守る」ことであり,創傷治癒と血流維持はそのための手段にすぎないことも念頭に置き治療に臨むことが求められる。
1 神戸分類に基づく糖尿病性足潰瘍の診断
藤井美樹(北播磨総合医療センター形成外科主任医長/重症虚血肢センター長)
寺師浩人(神戸大学大学院医学研究科形成外科学教授)
2 神戸分類に基づく糖尿病性足潰瘍の局所治療
武田玲伊子(神戸大学大学院医学研究科形成外科学)
寺師浩人(神戸大学大学院医学研究科形成外科学教授)
3 糖尿病性足潰瘍患者に対する装具療法と歩行維持
河辺信秀(城西国際大学福祉総合学部理学療法学科)
渡部祥輝(東京工科大学医療保健学部理学療法学科)