監修: | 武藤芳照(日体大総研所長) |
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編著: | 野崎大地(東京大学教授) |
編集: | 小松泰喜(東京工科大学教授) |
判型: | AB判 |
頁数: | 296頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2012年05月31日 |
ISBN: | 978-4-7849-6014-9 |
版数: | 第5版 |
付録: | - |
診療科: | 整形外科 | 整形外科 |
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スポーツ医学 | ||
リハビリテーション科 | リハビリテーション科 |
Ⅰ 運動療法に不可欠な基礎的知識
1.運動療法の歴史,目的・種類,現状と展望
1.運動療法の歴史
2.運動療法の目的・種類
3.運動療法の現状と展望
2.運動療法の基本原則
1.運動処方の原理
2.運動療法の適応と実践
3.運動療法の指導上留意すべきこと
3.筋・骨格系の構造と機能
1.筋線維の構造と収縮
2.筋線維タイプ
3.骨格筋の構造と機能
4.筋と腱の相互作用
5.筋出力と関節トルク
6.拮抗筋,協働筋
7.関節角加速度
4.身体運動を制御する神経系の構造と機能
1.神経系による運動調節の必要性
2.脊髄神経回路
3.歩行と脊髄パターン発生回路
4.運動実行に関わる大脳皮質
5.小脳と大脳基底核
5.有酸素運動の生理学的基礎
1.呼吸循環の役割
2.加齢と安静が与える影響
3.最大酸素摂取量
4.O2deficit(酸素不足・酸素借)
5.運動処方時の酸素摂取量測定の意義
6.身体運動のエナジェティクス(エネルギー供給系)
7.嫌気性代謝閾値
8.運動負荷に伴う呼吸応答のメカニズム
9.運動による血圧反応
6.体力・運動能力の測定・評価
1.健康関連体力
2.全身持久力の測定
3.筋力の測定
4.筋持久力の測定
5.柔軟性(長座体前屈)の測定
6.体力測定・評価に関する留意事項
7.有酸素トレーニングの基礎と実践
1.有酸素運動とは
2.有酸素運動の強度
3.有酸素性作業能力とトレーニング
8.筋力増強運動(筋力トレーニング)の基礎と実践
1.筋力増強運動とは
2.筋力増強運動の目的
3.筋力増強のメカニズム
4.筋力増強運動の種類
9.運動学習の基礎と実践
1.宣言的記憶と手続き記憶
2.運動学習の必要性
3.運動学習は潜在的レベルで進む
4.運動学習を可能にする神経科学的機序
5.運動学習とリハビリテーション
10.関節可動域運動と伸張運動(ストレッチング)の基礎と臨床
1.関節可動域とは
2.関節可動域の維持と改善に対するアプローチの考え方
3.関節可動域運動の概要
4.ストレッチングの概要
5.まとめ
Ⅱ 運動療法の実践 ─ 疾患別運動療法
1a.小児疾患の運動療法 ─ 心疾患
1.疾患の概要
2.運動の意義
3.運動療法の実際
4.運動療法の適応と禁忌
5.運動療法の効果の評価・判定法
6.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
7.運動療法の実際─あいち小児保健医療総合センターでの実施
1b.小児疾患の運動療法 ─ 呼吸器疾患
1.疾患の概要(気管支喘息)
2.気管支喘息と運動
3.運動療法の実際
4.在宅(学校)での運動指導
1c.小児疾患の運動療法 ─ 脳性麻痺
1.疾患の概要
2.脳性麻痺に対する運動療法
3.中枢神経系の問題に対する運動療法
4.筋骨格系の問題に対する運動療法
5.年齢による障害像の変化
6.脳性麻痺に対する運動療法の効果判定
1d.小児疾患の運動療法 ─ 脊柱側弯症
1.疾患の概要
2.特発性側弯症に対する運動療法の歴史
3.現在の側弯症に対する運動療法の役割
4.まとめ
2.癌患者の運動療法
1.疾患・障害の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
3a.運動器疾患の運動療法 ─ 骨粗鬆症
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法を継続させるための工夫
4.運動療法の適応と禁忌
5.運動療法の効果の評価・判定法
6.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
7.まとめ
3b.運動器疾患の運動療法 ─ 関節リウマチ
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
3c.運動器疾患の運動療法 ─ 腰痛疾患
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
3d.運動器疾患の運動療法 ─ 肩関節周囲炎
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
3e.運動器疾患の運動療法 ─ 変形性膝関節症
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害,事故の実際と予防対策
3f.運動器疾患の運動療法 ─ 変形性股関節症
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
3g.運動器疾患の運動療法 ─ 膝前十字靱帯損傷
1.疾患の概要
2.運動療法の概念
3.運動療法の実際
4.評価および判定法
5.スポーツ復帰に関して
3h.運動器疾患の運動療法 ─ 大腿骨近位部(頸部・転子部)骨折
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防策
3i.運動器疾患の運動療法 ─ 転倒予防
1.骨折・転倒と介護
2.転倒の定義と実態
3.転倒リスクとその評価
4.転倒予防のための運動療法
5.元祖・転倒予防教室の取り組み
6.転倒予防のめざすもの
4a.呼吸・循環器,内部障害の運動療法 ─虚血性心疾患
1.疾患の概要
2.運動療法の適応と禁忌
3.運動療法の実際
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
4b.呼吸・循環器,内部障害の運動療法 ─高血圧症
1.医療費
2.治療方針
3.高血圧と身体活動
4.運動療法の効果
5.医療機関の立場から
6.生活習慣を複合的に修正する
7.これから運動を始めようと考えている人に対して
8.運動療法の実際
9.降圧薬服用中の注意点
10.高齢者の運動量の目安─現実的な側面から
11.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
4c.呼吸・循環器,内部障害の運動療法 ─ 糖尿病
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の効果の評価・判定法
4.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
4d.呼吸・循環器,内部障害の運動療法 ─ 呼吸不全
1.疾患の概念
2.呼吸不全の運動療法の実際
3.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
5a.脳血管・神経疾患の運動療法 ─ Parkinson病
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の効果の評価・判定法
4.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
5b.脳血管・神経疾患の運動療法 ─ うつ・不眠状態
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
5c.脳血管・神経疾患の運動療法 ─ 脳血管障害
1.疾患の概要
2.運動療法の評価と実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果
5.運動療法に伴う障害と予防対策
5d.脳血管・神経疾患の運動療法 ─ 切断
1.切断の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の適応と禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
5e.脳血管・神経疾患の運動療法 ─ 脊髄損傷
1.疾患の概要
2.運動療法の実際
3.運動療法の禁忌
4.運動療法の効果の評価・判定法
5.運動療法に伴う障害・事故の実際と予防対策
6.まとめ
Ⅲ 運動療法のための安全管理
1.頭部・脳・血管系の事故
1.頭部外傷
2.脳血管障害(脳卒中)
3.てんかん
2.心・血管系の事故
1.循環器疾患と運動療法
2.心・血管系事故の実態
3.心・血管系事故の予防
4.心・血管系事故の処置と対策
5.まとめ
3.運動療法,運動処方に伴う事故の事例と法的問題
1.事故が起きた場合に生じうる法的責任
2.運動療法における具体的事故事例と,その場合の法的問題
4.救急処置・救命処置に必要な備品・医薬品
1.救急処置
2.救急に必要な物品
3.参加者名簿,メディカルレポート,運動療法経過レポート,傷病者レポート
4.連絡および搬送する部署・施設のリストアップ
5.運動施設における救急搬送の実態
1.運動施設における救急事故の頻度と原因
2.運動施設における救急事例・事故内容
3.事故の未然防止と救急対応
4.救急活動システム,事故・緊急時の対応
巻末資料
1.ストレッチングの種類
2.テーピングの実際
様々な疾患や症状別になすべき運動処方を解説するという構成で高い評価を得てきた本書も,今回の改訂で第5版となる。対象とした疾患・症状も版を重ねるごとに増加し,結果的に初版と比べて第4版では2倍以上,550ページにも達する大部となった。情報量が増加することは好ましいことである一方,手が届きにくい価格になったというネガティブな面もある。今回の改訂では,断腸の思いに駆られながら,扱う項目をいったん整理し,内容のスリム化を図ったうえで,全項目について新たに執筆を依頼した。
ただ,内容のスリム化だけを目指したわけではない。運動療法を扱った書籍として,我々が感じていたのは,脳梗塞や脊髄損傷などを患った身体障害者を対象とした運動療法に関する記述が不足しているのではないかということであった。近年,脳神経科学の発展に伴い,こうした科学的知見を活かしたリハビリテーションが注目されていることは周知の通りである。適切な運動を行うことによって脳や神経系の可塑的変化を誘導し,身体機能の改善を図るというストラテジーは,今後ますます重要になってくると考え,これらの項目を加えることとした。また,この追加に関連して,身体運動を理解するために不可欠な,筋・骨格系や脳神経系の構造・機能についての基礎的知識を扱った項目を追加した。
第5版の編集にあたって我々が講じた以上のような変更点が,読者の方々にどの程度受け入れられるかは,今後の評価を待つしかない。これまで同様,運動処方に関わる幅広い分野・領域の様々な人々に永く活用されることを編者として願うばかりである。
編者一同