質疑応答【動画版】SPECIAL「ヒラハタ院長の法律相談 コロナ後遺症診療に法的リスクはあるか」(平畑光一 ヒラハタクリニック院長 × 川﨑 翔 よつば総合法律事務所東京事務所所長)
(視聴時間24分・2022年9月1日収録)
質疑応答【動画版】では、現場の臨床医の先生方から実際に寄せられた質問・疑問を取り上げ、専門家が最新の知見・データに基づいてわかりやすく解説します。
今日のテーマは「コロナ後遺症診療に法的リスクはあるか」。
新型コロナ後遺症診療をめぐる医療機関の不安を払拭するため、後遺症診療の最前線に立つヒラハタクリニックの平畑光一院長が、医療における法的リスクの問題に詳しい川崎翔弁護士に直接質問・相談します。(全3回)
(2022年10月4日より全3回で配信した動画を一挙にご視聴できる全体版です)
【Question】
- 患者の後遺症の訴えに対し医師が軽んじるような態度をとってしまい、そのことを苦にして患者が自死した場合の法的責任の有無は?(00:41~)
- 後遺症患者に対し診断書を書くことで法的責任が生じることはあるのか?(07:58~)
- コロナ後遺症で働けなくなった患者に傷病手当金の診断書を書かなかった場合、「もらえるはずの傷病手当がもらえなかった」と訴えられるリスクはあるか?(13:41~)
- 診断書に「コロナ後遺症」と書いて、後で検査等で違う病気であることがわかった場合、法的責任が生じることはあるのか?(17:36~)
編集メモ~ここがポイント!
(病院の対応を苦にして自死したケースの法的責任)
- 当該医師がとった行動・言動が自死を引き起こすようなものであったかがポイント
- 直接自死に結びつくような極めて問題のある行為でない限り、賠償責任が認められる可能性は低い
- 「自死という結果を引き起こすかもしれない」ということが予見できた状況だとすると話は違う。医師としての注意義務に違反していると言われる可能性はある
- 「あの先生はこういう発言をする人だ」ということがSNS上で拡散することも大きなリスク
(診断書を書くリスク・書かないリスク)
- 診断書の作成に関してトラブルになり訴えられるケースはある
- 患者が希望する病名で書けるかという問題はあるが、客観的に書ける部分は書かなければならない
- 診断書に「後遺症」と書くのがためらわれる場合は「罹患後症状」などと書く方法もある
- 診断書の記載内容についてはそれほど大きなリスクはない
- 医師自身が虚偽を書いたということでなければ法的責任を問われることはまずない
(後遺症の診断が間違っていた場合の法的責任)
- 結果的に診断が違っていた場合に責任が生じるというケースは極めて少ない
- 法律は自然科学に比べると「結果がすべて」という学問ではない。当時の状況に立ち返って「理想とされる行動」ができたかをみている
- 「怖いから手を出さない」と言って後遺症を一切診ない姿勢も社会的に問題がある
- コロナ後遺症患者のためにできることを1つ1つやっていくことに基本的には法的リスクが伴うことはない
【PROFILE】
平畑 光一(ひらはた こういち) ヒラハタクリニック院長
2002年山形大医学部卒。東邦大大橋病院消化器内科での研後・診療を経て2008年よりヒラハタクリニック(東京都渋谷区)院長。医療向けIT企業メイドインクリニック設立。新型コロナ後遺症の情報サイト「longcovid.jp」を運営。
川﨑 翔(かわさき しょう) よつば総合法律事務所東京事務所所長/弁護士
2006年東大法学部卒。2009年よつば総合法律事務所入所、2019年より同事務所東京事務所長。第二東京弁護士会所属。ドクターメイト執行役員。医療法人淳仁会(山口皮膚科)理事。「あらゆる法的リスクから医療機関を守り、地域医療に貢献する」を理念に掲げ、医療機関・クリニックの顧問弁護士として活動。日本医事新報誌上で「識者の眼」担当。
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