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【緊急討論】岩田健太郎×高山義浩「オミクロン株感染拡大~いま優先すべき対策、専門家が果たすべき役割(全体版)」

2022/03/15

【Web医事新報チャンネル】~2022/5

今日のテーマは「オミクロン株感染拡大~いま優先すべき対策、専門家が果たすべき役割」。
神戸大学病院感染症内科教授の岩田健太郎先生と沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長の高山義浩先生に、オミクロン株感染拡大へのこれまでの対応を検証いただきながら、これからの新型コロナ対策の進め方、パンデミック時の政策決断における専門家の役割についてディスカッションいただきます。
(2022年2月24日より全5回で配信した対談を一挙にご視聴できる全体版です)
(視聴時間43分・2022年1月28日収録)

オミクロン株感染拡大で従来型の新型コロナ対策の有効性があらためて問われる中、Web医事新報チャンネルでは、2人の感染症のプロ、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授と沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩副部長による対談を企画し、1月28日にオンラインで収録を行いました。

本対談では、沖縄県の政策参与も務める高山先生が、沖縄でのオミクロン株との戦いで得た教訓について報告。岩田氏はオミクロン株感染拡大に対する政府・自治体の対応の問題点を指摘します。

新型コロナウイルス感染者の国内初確認以降の2年間を振り返り、パンデミック時の政策決断において専門家が果たすべき役割についても討議しています。

足元の新型コロナ対策だけでなく、今後の新興感染症対策を考える上でも重要な指摘が盛りだくさんの本対談、臨床医をはじめ多くの医療関係者の皆様にご視聴にいただければ幸いです。

【「オミクロン株感染拡大~いま優先すべき対策、専門家が果たすべき役割」 CONTENTS】

  • Chapter 1 オミクロン株対応で得た教訓 (00:54~)分割版へ
  • Chapter 2 従来型の対策に効果はあるか (08:38~)分割版へ
  • Chapter 3 新型コロナ対策見直しの方向 (20:34~)分割版へ
  • Chapter 4 パンデミック時の政策決断における専門家の役割 (26:02~)分割版へ
  • Chapter 5 日本のパンデミック対応は進化したか (35:30~)Chapter 6 最前線に立つ医療従事者へのメッセージ (43:10~)分割版へ

編集メモ~ここがポイント!

  • Chapter 1では、沖縄県政策参与も務める高山先生が、沖縄でのオミクロン株との戦いを振り返り、県と市町村が連携して高齢者へのワクチン追加接種(3回目接種)を進めていれば感染をかなり抑制できたと報告。
    岩田先生もオミクロン株への対応で最も力点を置かなければいけないのはブースター接種(追加接種)だったとし、水際作戦で「時間稼ぎ」をしながらブースター接種を普及させなかった政府の対応を批判します。
  • Chapter 2は本対談の前半の山場。オミクロン株感染拡大を抑えるために「まん延防止等重点措置」のような従来型の措置・対策を繰り返すことの効果を検討します。
    「私の知る限り『まん防は効果があった』というデータは全然ないし、『効果があったであろう』という理論的な根拠も乏しい」と指摘する岩田先生に対し、高山先生は、まん延防止等重点措置は「中身」が大事だとし、都道府県の柔軟な判断が必要と訴えます。
  • パンデミックが年単位で続く中、リスクをどこまで許容し、社会の制限をどの程度緩和すべきか─。Chapter 3では、新型コロナ対策の「着陸先」「落としどころ」をどう決めるかが論点となります。
    地域住民への説明と対話を重視する高山先生に対し、岩田先生は地域住民と情報共有はできても「話し合って合意形成するのは無理」と主張します。

  • Chapter 4では、新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認された2020年1月15日以降の2年間を振り返り、「パンデミック時において感染症などの専門家が果たすべき役割」について討議します。
    「専門家は必ずしも政策決断に役立つ存在である必要はない」とする高山先生に対し、岩田先生は、政策決定に関わる専門家は「利益相反」から独立して「科学性」を担保できているかが問われると指摘。ダイヤモンド・プリンセス号やCOVID-19治療指針の事例を取り上げながら研究機関や学会のあり方にも言及し、「科学ボディーの独立性は世界中が抱えている難問」ではあるものの日本の現状は「あまりにもひどい」と批判します。
  • Chapter 5では、2009年新型インフルエンザパンデミックの総括会議(新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議)にメンバーとして参加していた岩田先生に、「当時の対応と比較して、COVID-19パンデミックに対する日本の対応に進化した部分はあるか」という追加質問に答えていただきます。
    続けてChapter 6では、COVID-19対応の最前線に立つ医療従事者に向けて、岩田先生と高山先生からメッセージを送っていただきます。

【PROFILE】

岩田 健太郎(いわた けんたろう) 神戸大学病院感染症内科教授
1997年島根医科大(現島根大)卒。アルバートアインシュタイン大学ベスイスラエル・メディカルセンター感染症フェロー、北京インターナショナルSOSクリニック勤務、亀田総合病院感染症科部長、同病院総合診療・感染症科部長などを経て、2008年より現職。

高山 義浩(たかやま よしひろ) 沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長
1995年東大医学部保健学科卒、2002年山口大医学部医学科卒。08年より厚労省健康局結核感染症課でパンデミック対策、14年より同省医政局地域医療計画課で地域医療構想の策定支援に取り組む。15年より現職。沖縄県政策参与。

【関連情報】

新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書(2010年6月10日 厚生労働省)

【関連記事】

(COVID-19の問題を取り上げた岩田健太郎先生の「識者の眼」より)

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(高山義浩先生執筆・監修の特集)

[特集]在宅診療特有の尿路感染症診療

【関連書籍・コンテンツ】

高山義浩著『高齢者の暮らしを守る 在宅感染症診療【電子版付】』

岡 秀昭編『あなたも名医!名医たちの感染症の診かた・考えかた』※岩田健太郎先生分担執筆

電子コンテンツ「あの先生にちょっと聞きたい! イマドキ医師の指導に困ったとき」※岩田健太郎先生、高山義浩先生分担執筆

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