編著: | 角田博子(聖路加国際病院放射線科医長) |
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編著: | 秋山 太(癌研究会癌研究所病理部部長) |
判型: | AB判 |
頁数: | 280頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2010年06月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-4201-5 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
■精度の高い画像診断をしていますか? 良性疾患と悪性疾患の識別はどこが問題でしょうか? 合計720枚にわたる超音波・エラストグラフィ等と病理写真が正確な診断を読者に伝えます。
■乳癌の発見のために、線維腺腫や乳腺症に代表される良性疾患を効率よく除外するには、どのように適確に診断していけばよいのか。本書にあげた148例の超音波画像と病理組織の対比を行いながら、日常臨床で使える鑑別法を体得できます。
疾患名一覧
線維腺腫
⇔典型的線維腺腫
CASE 01 28歳,線維腺腫
CASE 02 28歳,線維腺腫
CASE 03 54歳,線維腺腫
CASE 04 53歳,線維腺腫
CASE 05 51歳,線維腺腫
CASE 06 44歳,線維腺腫
CASE 07 38歳,線維腺腫
CASE 08 45歳,線維腺腫
CASE 09 51歳,線維腺腫
CASE 10 41歳,線維腺腫
CASE 11 50歳,線維腺腫
CASE 12 26歳,線維腺腫
CASE 13 26歳,線維腺腫
CASE 14 31歳,線維腺腫
CASE 15 49歳,線維腺腫
CASE 16 42歳,線維腺腫
CASE 17 線維腺腫
⇔硝子化した線維腺腫
CASE 18 線維腺腫
CASE 19 線維腺腫
CASE 20 線維腺腫
CASE 21 69歳,線維腺腫
CASE 22 49歳,線維腺腫
CASE 23 線維腺腫
CASE 24 49歳,線維腺腫
CASE 25 71歳,線維腺腫
CASE 26 42歳,線維腺腫
CASE 27 38歳,線維腺腫
CASE 28 37歳,線維腺腫
⇔非典型線維腺腫
CASE 29 36歳,線維腺腫
CASE 30 48歳,線維腺腫
CASE 31 37歳,線維腺腫
CASE 32 31歳,線維腺腫
CASE 33 81歳,線維腺腫
CASE 34 30歳,線維腺腫
CASE 35 38歳,線維腺腫
CASE 36 41歳,線維腺腫
CASE 37 47歳,線維腺腫
CASE 38 38歳,線維腺腫
CASE 39 69歳,線維腺腫
⇔線維腺腫と鑑別を要する病変
CASE 40 ①43歳,乳腺内脂肪(fat island)
CASE 41 ②45歳,乳腺内脂肪(fat island)
CASE 42 ③39歳,乳腺内脂肪(fat island)
CASE 43 ④32歳,乳腺内脂肪(fat island)
CASE 44 ⑤ 乳腺内血腫
CASE 45 ⑥60歳,アポクリン化生を伴う乳管腺腫
CASE 46 ⑦49歳,乳管内乳頭腫
CASE 47 ⑧37歳,嚢胞内乳頭腫
CASE 48 ⑨39歳,乳管内乳頭腫
CASE 49 ⑩48歳,乳管内乳頭腫
CASE 50 ⑪42歳,非浸潤性乳管癌
CASE 51 ⑫36歳,乳頭腺管癌
CASE 52 ⑬48歳,乳頭腺管癌
CASE 53 ⑭80歳,乳頭腺管癌
CASE 54 ⑮80歳,充実腺管癌
CASE 55 ⑯40歳,充実腺管癌
CASE 56 ⑰42歳,硬癌
CASE 57 ⑱54歳,充実腺管癌
CASE 58 ⑲46歳,充実腺管癌
CASE 59 ⑳63歳,非浸潤性乳管癌
CASE 60 21;40歳,乳頭腺管癌
CASE 61 22;39歳,乳頭腺管癌
CASE 62 23;58歳,硬癌
CASE 63 24;60歳,充実腺管癌
CASE 64 25;78歳,腺様嚢嚢胞癌
CASE 65 26;40歳,粘液癌(純粋型)
CASE 66 27;47歳,粘液癌(純粋型)
CASE 67 28;49歳,粘液癌(混合型)
CASE 68 29;49歳,粘液癌(混合型)
CASE 69 30;48歳,粘液癌
CASE 70 31;48歳,粘液癌(低乳頭型乳管内癌由来)
CASE 71 32;50歳,非浸潤性乳管癌
CASE 72 33;35歳,非浸潤性乳管癌
⇔葉状腫瘍
CASE 73 47歳,良性葉状腫瘍
CASE 74 44歳,良性葉状腫瘍
CASE 75 41歳,良性葉状腫瘍
CASE 76 43歳,良性葉状腫瘍
CASE 77 52歳,良性葉状腫瘍
CASE 78 39歳,良性葉状腫瘍
CASE 79 48歳,良性葉状腫瘍
CASE 80 36歳,良性葉状腫瘍
CASE 81 43歳,良性葉状腫瘍
CASE 82 37歳,悪性葉状腫瘍
CASE 83 55歳,嚢胞性変化を伴う葉状腫瘍
乳腺症
⇔通常乳腺症と呼ばれる病変
CASE 01 46歳,多発嚢胞
CASE 02 35歳,乳腺症
CASE 03 36歳,乳腺症
CASE 04 40歳,乳腺症
CASE 05 40歳,乳腺症(硬化性腺症)
CASE 06 37歳,乳腺症(硬化性腺症)
CASE 07 37歳,乳腺症
CASE 08 42歳,乳腺症
⇔境界不明瞭な低エコー域を呈する病変
CASE 09 ①51歳,乳腺症(閉塞性腺症)
CASE 10 ②36歳,乳腺症(アポクリン嚢胞)
CASE 11 ③51歳,乳腺症(硬化性腺症,閉塞性腺症)
CASE 12 ④38歳,乳腺症(小嚢胞)
CASE 13 ⑤52歳,乳腺症(乳管乳頭腫症)
CASE 14 ⑥32歳,乳腺症(アポクリン嚢胞)
CASE 15 ⑦47歳,浸潤性小葉癌
CASE 16 ⑧43歳,乳頭腺管癌
CASE 17 ⑨53歳,非浸潤性乳管癌
CASE 18 ⑩31歳,非浸潤性乳管癌(硬化性腺症内癌)
CASE 19 ⑪45歳,非浸潤性乳管癌
CASE 20 ⑫47歳,非浸潤性乳管癌
CASE 21 ⑬42歳,非浸潤性乳管癌
CASE 22 ⑭42歳,乳頭腺管癌
CASE 23 ⑮47歳,非浸潤性乳管癌
CASE 24 ⑯37歳,乳腺症
CASE 25 ⑰44歳,非浸潤性乳管癌
CASE 26 ⑱71歳,非浸潤性乳管癌
CASE 27 ⑲46歳,非浸潤性乳管癌
CASE 28 ⑳32歳,非浸潤性乳管癌
CASE 29 21;43歳,非浸潤性乳管癌
CASE 30 22;47歳,乳腺症(硬化性腺症を主体)
CASE 31 23;51歳,浸潤性小葉癌
CASE 32 24;47歳,乳腺症(硬化性腺症)
CASE 33 25;45歳,浸潤性小葉癌
CASE 34 26;45歳,浸潤性小葉癌
CASE 35 27;57歳,浸潤性小葉癌
⇔不整形腫瘤を呈する病変
CASE 36 ①46歳,乳腺症
CASE 37 ②42歳,乳腺症(アポクリン嚢胞)
CASE 38 ③54歳,乳腺症
CASE 39 ④28歳,乳腺症
CASE 40 ⑤51歳,乳腺症
CASE 41 ⑥52歳,乳腺症
CASE 42 ⑦70歳,硬癌
CASE 43 ⑧52歳,硬癌
CASE 44 ⑨73歳,硬癌
CASE 45 ⑩70歳,硬癌
CASE 46 ⑪56歳,硬癌
CASE 47 ⑫67歳,硬癌
CASE 48 ⑬49歳,非浸潤性乳管癌
CASE 49 ⑭61歳,硬癌
CASE 50 ⑮33歳,乳腺症
CASE 51 ⑯57歳,乳腺症
CASE 52 ⑰58歳,乳腺症
CASE 53 ⑱62歳,乳腺症
⇔構築の乱れを呈する病変
CASE 54 ①58歳,乳腺症
CASE 55 ②46歳,乳腺症
CASE 56 ③40歳〜 非浸潤性乳管癌
CASE 57 ④52歳,非浸潤性乳管癌
CASE 58 ⑤46歳,非浸潤性乳管癌
⇔小嚢胞集簇を呈する病変
CASE 59 ①46歳,単純性嚢胞の集簇
CASE 60 ②34歳,乳腺症
CASE 61 ③73歳,非浸潤性乳管癌
CASE 62 ④43歳,非浸潤性乳管癌
CASE 63 ⑤38歳,非浸潤性乳管癌
CASE 64 ⑥66歳,非浸潤性乳管癌
CASE 65 ⑦67歳,非浸潤性乳管癌
日本でも乳癌の増加が注目をあび、定期的に自分の乳房をチェックする習慣が日本女性のなかで浸透し、検診もしだいに普及しつつある。早期乳癌の発見に着実につながっていくであろう非常に喜ばしい状況である。しかし、このような状況で我々乳腺診療に携わる医療者が注意しないとならないのは、その背景には多くの良性疾患があって、それをどのように効率よく除外していくかという点である。なかには、ずっと自覚せずにきた良性腫瘍がたまたま検診で指摘され、癌かどうか非常に心配した日々を送る女性も少なくないであろう。特に今回取り上げた線維腺腫と乳腺症は、日々の日常臨床のなかできわめて頻度の多い疾患であり、しかも時に診断が非常に難しい。このような良性疾患を適確に診断していくことこそが、まさに今求められていることと思われる。
この本では、線維腺腫と乳腺症について、まず臨床面と病理学的側面から解説し、主として超音波画像と病理組織との対比を行いながら症例をみていって頂く形式をとっている。それぞれ典型的な症例から鑑別にあげなければならない良性疾患、悪性疾患を順に配列した。このような点に注意すれば鑑別可能、あるいは画像的に完全に鑑別ができなくても考慮するべき疾患として列挙できないかどうかについてなどのコメントも掲載した。様々な症例をみながら、このような症例を経験したなあとか、なるほど次回からはこのように注意すればいいか、など読者の日常臨床の場でお役に立てることができればうれしく思っている。
本の執筆、編集にあたっていつも思うことは、もっと日々こつこつと準備をすることができなかったものか、という思いである。日常臨床のなかで締め切りに追われてばたばたと毎日を過ごした。多くの写真を画像化する際には、聖路加国際病院放射線科刈田映子技師、松岡由紀技師の協力なくしてはできなかったことをここに申し上げておきたい。
日本医事新報社の阿部尚子氏には、寒かった冬の時期から真夏のような暑かった5月にかけて、何回もそして日曜もつぶして聖路加国際病院まで足を運んでいただいた。ここに篤く御礼申し上げる次第である。
本の副題に、“乳腺良性疾患クラブ”という命名をした。日々遭遇する良性疾患に少しでも興味を持っている方であれば、本を購入していただいていつでもどこにいても活動できるということを意味したかったものである。現在、秋山キャプテン、角田副キャプテンほか、執筆者一覧にあげたクラブ員が賛同して、日々研鑽努力中である。この序文を読んでくださっておられる方、よろしければご一緒にいかがでしょうか。
2010年5月
聖路加国際病院 角田博子
癌研究会癌研究所 秋山 太