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コロナ禍におけるリビングウイルの意義[長尾和宏の町医者で行こう!!(128)]

No.5095 (2021年12月18日発行) P.52

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2021-12-15

最終更新日: 2021-12-14

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リビングウイルとは

公益財団法人・日本尊厳死協会とは、リビングウイル(LW)の普及啓発をする市民団体であり約10万人が会員登録している。LWとは終末期の療養に関する希望を書いた文書であり、憲法で保障された幸福追求権のひとつである。死後の遺産整理などの希望を書いた「遺言状」と違い、生きている間の医療に関する本人希望(LW)は「命の遺言状」とか「生前に開封する遺書」とも呼ばれている。しかし日本では遺言状と違い、LWの法的担保はない。そこで病院や施設や自治体により様々な様式のLWが工夫され使われているが、多くが親族の署名を添える「事前指示書型」になっている。LWを尊重し延命治療を控え自然な経過に任せると同時に十分な緩和ケアを提供した結果の最期は、「平穏死」や「尊厳死」と呼ばれている。

穏やかな最期、つまり尊厳死を望む人が年々増えている。しかし現実には正反対の形の最期になることのほうが圧倒的に多い。また病院では認知症のために本人意思が不明のまま様々な医療処置が自動的に施されることも少なくない。一方、欧米では自己決定という文化があるので多くの成人がLWを表明しており、法的に担保されている。東アジアでも台湾は2000年に、韓国は2016年に法的担保を終えた。しかし日本ではいまだLWの法的担保がないので、家族の意向に盲従せざるをえない時がある。日本では死をタブー視する傾向もあり、LWの普及啓発が欧米諸国と比べて非常に遅れている。LWを表明している国民は約3%程度で、欧米と比べてひとケタ少ない。その結果、患者がLWを提示しても「そんなもの知らない」と言う医師が多いと聞く。まずはLWとは何か、多くの医師に知って頂きたい。

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