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自宅放置死をなくすためにはシステム「強化」ではなく「変更」を[長尾和宏の町医者で行こう!!(129)]

No.5099 (2022年01月15日発行) P.56

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2022-01-06

最終更新日: 2022-01-06

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増床で解決するのか

正月が明けてコロナは全国的に第6波に突入しつつある。筆者は第1波から第5波まで自宅放置者約600人を携帯電話や往診で管理してきた。「ひとりも、死なせへん」という覚悟で医療崩壊や保健所崩壊のなか医療を提供してきた。重症者であっても入院できるのか全く分からない状況はまさに災害であった。幸いなことに、死者ゼロでこれまでやってきた。果たして今回の第6波がどの程度の波になるのか誰も予測できないが、早急に医療崩壊や保健所崩壊しない仕組みに変えるべきである。今回、自宅放置死をなくすためには、システム「強化」ではなく「変更」が必要であることを述べたい。

政府の第6波に向けた対策を見渡すと「数」の強化が目につく。たとえばコロナ病床数の増床である。コロナ病床を3割増やすということは、その分スタッフも増やさないと運営できないことは素人でも分かる。コロナ患者さんは人手がかかるので、実際は、2倍程度の増員が必要であろう。しかしどこから医師や看護師などの医療スタッフを引っ張ってくるのだろうか。もしも一般病床から引っ張ってきた場合、一般病床の患者さんはどうなるのだろうか。コロナ以外の死亡数が増加する中、通常医療の崩壊が懸念される。もしも配置転換できたとしても教育体制や安全管理をどうするのか。災害医療といえども「医療安全」を忘れてはいけない。つまり、病床数が増えるのに比例して安全は低下、質も低下、モチベーションも低下するのではないか。日本の医療従事者の労働環境は先進国の中で最低レベルである。増員どころか、離職によるさらなるマンパワーの低下を招くのではないか。医療従事者の労働環境の抜本的な改善をせずに表面的な数字の強化だけでは、絵に描いた餅になるだろう。

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