MSDのヤニー・ウェストハイゼン社長は3月13日の記者会見で、同社の2017年度売上高は約3587億円(薬価ベース)となり、前年度比15%増の成長率を達成したと発表した。
売上を牽引したのは、C型肝炎治療薬「エレルサ/グラジナ」や抗がん剤「キイトルーダ」などの新製品。堅調な推移により特許切れの製品のマイナスをカバーした。
18年度の売上予測は非開示だが、白沢博満副社長は、新薬や適応追加で「2桁に上る国内申請」を行う予定であると強調。国内開発パイプラインのフェーズ3には、キイトルーダの乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、腎細胞がん、小細胞肺がんの8種類に加え、抗真菌薬「ポサコナゾール」などがあることを明らかにした。
また白沢氏は、18年度薬価基準改定で「用法用量再算定」の適用によりキイトルーダの薬価が約11%引下げとなる点に触れ、適応拡大に伴い薬価が引き下げられる現行制度を問題視。「適応拡大には治験や市販後調査で新薬を開発するのと同じようにコストがかかる。患者さんのためになる適応拡大がペナルティになってしまっている。患者さんに届けたいイノベーションがやがて届けられなくなるリスクを感じている」との懸念を示した。
2017年に承認・適応追加されたMSDの新薬
①C.difficile感染症再発抑制用薬「ジーンプラバ」(承認取得)、②高コレステロール血症治療薬「アトー ゼット配合錠」(承認取得)、③「キイトルーダ」(ホジキンリンパ腫、尿路上皮がんに対する適応追加)