藤田保健衛生大呼吸器内科学Ⅱ教授の堀口高彦氏(写真)は5月28日、アストラゼネカが開いたメディア向けセミナーで講演し、同社が4月に発売した気管支喘息治療薬「ファセンラ皮下注30mgシリンジ」(一般名:ベンラリズマブ)を実際に使用した症例について報告した。
ファセンラは、ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性によりナチュラルキラー細胞を誘導し、血中好酸球を直接的かつ速やかに除去する生物学的製剤。既存治療では症状コントロールができない難治の重症喘息患者に対し新しい治療選択肢を提供するものとして期待されている。
28日のセミナーで堀口氏が紹介したのは、1月の製造販売承認取得後から発売前までアストラゼネカが実施したファセンラの倫理的無償提供の枠組みを活用した8例の患者(32〜88歳、男性4人・女性4人)。投与開始4週後に全例で血中好酸球数はほぼゼロとなり、ほぼすべての症例で喘息症状が改善した。患者のうち53歳の女性は、「翌日から呼吸が楽になり、映画にも行けるようになった」と喜んでいるという。
もう1人の演者の東田有智氏(近畿大病院長)も概ね良好な結果が得られているとし「きかない人が出た場合への対応が重要」と指摘した。
「ファセンラ」の主な副作用(承認時)
頭痛2.0%、注射部位紅斑(0.8%)、注射部位疼痛(1.0%)、ウイルス上気道感染0.5%、副鼻腔炎0.2%(アナフィラキシー反応は報告されていない)