薬事・食品衛生審議会(薬食審)の医薬品第一、第二両部会はこのほど、表1の医薬品の承認を了承した。12月までに正式に承認される見通し。
大塚製薬が申請した「セリンクロ」(一般名:ナルメフェン塩酸塩水和物)は、アルコール依存症に用いる治療薬。断酒状態で使用する薬剤は既に3剤承認されているが、同薬は国内初となる飲酒量の低減を目的とした薬剤。承認に当たっては、適正使用を図る観点から、アルコール依存症治療を適切に実施できる医師のみ処方を認める。
厚生労働省は8日付で、抗リウマチ薬「リウマトレックス」(メトトレキサート)について、難治性の乾癬への使用を保険診療上認めた。日本皮膚科学会の要望を受け、薬食審の事前評価を行って公知申請が可能と判断されたもの。今後、製造販売元のファイザーが正式に承認申請を行う。具体的な効能・効果は「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」で、①ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず皮疹が対表面積の10%以上に及ぶ患者、②難治性の皮疹、関節症状、膿疱を有する患者―に用いる(表2)。
このほか、降圧薬「ブロプレス」(カンデサルタン シレキセチル)についても、小児用量の公知申請が了承され、9日付で保険適用となった。1歳以上6歳未満には0.05~0.3mg/kgを1日1回経口投与する。6歳以上には2~8mgを1日1回経口投与し、必要に応じて12mgまで増量する。いずれも腎障害を伴う場合は低用量から投与を開始し、必要に応じて8mgまで増量し、成人の用量を超えないようにする。
表1 近く承認が見込まれる医薬品 |
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販売名(会社名) |
一般名 |
効能・効果等 |
セリンクロ錠10mg(大塚製薬) |
ナルメフェン塩酸塩水和物 |
アルコール依存症患者における飲酒量の低減 |
プレセデックス静注液200µg「ファイザー」、同200µg/50mLシリンジ「ファイザー」(ファイザー)、プレセデックス静注液200µg「マルイシ」、同200µg/50mLシリンジ「マルイシ」(丸石製薬) |
デクスメデトミジン塩酸塩 |
集中治療における人工呼吸中および離脱後の鎮静(6歳以上の小児の用法・用量を追加) |
プラルエント皮下注75mgペン、同150mgペン(サノフィ) |
アリロクマブ(遺伝子組換え) |
家族性高コレステロール血症および高コレステロール血症(HMG-CoA還元酵素阻害薬による治療が適さない患者への投与を可能にする) |
ジャルカ配合錠(ヴィーブヘルスケア) |
ドルテグラビルナトリウム/リルピビリン塩酸塩 |
HIV-1感染症 |
ゴナックス皮下注用80mg、同120mg、同240mg(アステラス製薬) |
デガレリクス酢酸塩 |
前立腺癌(12週間隔で投与する場合の用法と、それに伴う用量として240mgを追加) |
トレムフィア皮下注100mgシリンジ(ヤンセンファーマ) |
グセルクマブ(遺伝子組換え) |
掌蹠膿疱症 |
表2 公知申請が了承された医薬品と保険適用となった適応
販売名 |
成分名 |
保険適用が認められた適応(適用日) |
点滴静注用ホスカビル注24mg/mL(クリニジェン) |
ホスカルネットナトリウム水和物 |
造血幹細胞移植後ヒトヘルペスウイルス6脳炎(11月8日) |
リウマトレックスカプセル2mg(ファイザー) |
メトトレキサート |
局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症(11月8日) |
ブロプレス錠2、同4、同8、同12(武田テバ薬品) |
カンデサルタン シレキセチル |
小児にかかる用法・用量を追加(11月9日) |