小野薬品工業は2月17日、新たに非小細胞肺がんの効能・効果の承認を取得したがん免疫療法薬「オプジーボ点滴静注」(一般名=ニボルマブ)についてメディア向けセミナーを開いた。
オプジーボは、PD-1とPD-1リガンドの結合を阻害する免疫チェックポイント阻害薬。がんによって眠らされていたT細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を示すとされている。日本では2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の効能・効果で製造販売が承認され、昨年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」への適応拡大が承認された。
セミナーで講演した九大院呼吸器分野教授の中西洋一氏(写真)は、日本で初めて肺がん治療で承認されたがん免疫療法薬となったオプジーボについて、1年生存率が大幅に上昇した臨床試験結果を紹介しながら、「これまでの薬と比べ長期生存が期待できる」とコメント。ただ、肺臓炎など免疫関連の有害事象が報告されており、また薬価が高額なことから、使用する際には副作用やコストへの留意が必要とした。
対象患者については「リスクが高いので、病状が進んだ患者には使うべきではない」との見解を示し、「この薬は非常に効く人と全然効かない人がいる。どのようにして効く人、効かない人を見つけるかが大事な課題」と述べた。
●「オプジーボ」の効能・効果と用法・用量
①根治切除不能な悪性黒色腫:1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注(化学療法未治療の場合)
②切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌:1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注
製薬メーカーのツムラや国内の大学・研究機関が参加する「六君子湯グレリンプロジェクト」は2月10日、医療用漢方製剤「ツムラ六君子湯」の基礎研究における最新エビデンスについて記者会見を開いた。
同プロジェクトは、生体内のホルモンの一種であるグレリンと六君子湯の関係性を研究するため2008年に発足。10日の会見では、マウスの実験でグレリンが血管疾患などの老化関連疾患に対し保護する役割を持つことを示した研究成果が「Molecular Psychiatry」誌に掲載されたとして、プロジェクト代表の乾 明夫氏(鹿児島大院心身内科学教授=写真)らがその内容と臨床への応用可能性について説明した。
乾氏は、今回の研究成果は、グレリン分泌作用を持つ六君子湯が、老化促進マウスの寿命を延長させることを明らかにしたものだとし、「六君子湯が健康寿命の延長に寄与する可能性を示唆する成果」と強調。会見に同席したツムラ消化器グループ長の藤塚直樹氏は、今後、サルコペニア、フレイルなどを指標として六君子湯の効果についてさらに研究を進めていく考えを示した。
●「ツムラ六君子湯」の効能・効果
胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐