塩野義製薬と日本イーライリリーは4月19日、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)として国内で初めて「慢性腰痛症に伴う疼痛」の効能・効果が承認された「サインバルタカプセル20mg・30mg」(一般名=デュロキセチン塩酸塩)について、メディア向けセミナーを開催した。
サインバルタは、2010年に「うつ病・うつ状態」を効能・効果として承認。12年に「糖尿病性神経障害に伴う疼痛」、15年に「線維筋痛症に伴う疼痛」の効能が追加され、今年3月、「慢性腰痛症に伴う疼痛」に対する適応追加が承認された。セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用を介して、痛みを抑制する下行性疼痛抑制系を賦活させ、鎮痛作用を発揮するとされている。
セミナーで講演した福島県立医大整形外科教授の紺野愼一氏(写真)は「欧米ではSNRIが慢性腰痛症の第一選択薬となっている」としながら、「日本では出たばかりなので、これが第一選択薬とは言えない。慢性腰痛症は認知行動療法やカウンセリングで良くなる人もいるので、様々な治療法を併用していくことになる」とコメント。これから経験が積み上げられ、第一選択薬の議論が起きてくるとの見方を示した。
塩野義とイーライリリーは、サインバルタの適正使用情報の提供に尽力していく方針だ。
●「サインバルタ」の新しい効能・効果と用法・用量
【効能・効果】慢性腰痛症に伴う疼痛 【用法・用量】1日1回朝食後、60mgを経口投与。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する
バイエル薬品のカーステン・ブルン社長は4月6日の記者会見で、2015年の売上高が前年比12.2%増の2795億円(薬価ベース)となり、「3年連続の二桁成長を達成した」と発表した。
成長を主に牽引したのは、経口抗凝固薬の「イグザレルト」と眼科用VEGF阻害薬の「アイリーア」。昨年9月に「深部静脈血栓症(DVT)、肺血栓塞栓症(PE)の治療・再発抑制」に対する承認を取得したイグザレルトは、売上高前年比28.3%増で、経口抗凝固薬市場シェア(金額シェア)は37.1%となった。アイリーアも「網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫」の適応が承認され、前年比64.0%の大幅増となった。
イグザレルトはさらなる適応拡大に向け、現在5つの臨床試験を実施中。アイリーアも、日本独自の取り組みとして「血管新生緑内障」を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験を実施している。ブルン社長は、今後も両製品が同社の業績を牽引していくとした。
バイエル薬品によると、国内の医療用医薬品企業における売上高順位で同社は2012年の17位から10位に上昇。同社の売上高に占める「後発医薬品なし」製品(特許保護期間または再審査期間中製品)の割合は75%に達している。
●バイエル薬品が今年3月に承認取得した2製品
「ゾーフィゴ」:骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の治療薬
「コバールトリイ」:血友病A治療薬(遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤)