株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

非小細胞肺がん治療薬 [新薬FRONTLINE]

No.4806 (2016年06月04日発行) P.22

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ノバルティスファーマ:非小細胞肺がん治療薬「ジカディア」発売

ノバルティスファーマは5月25日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する治療薬「ジカディアカプセル150mg」(一般名=セリチニブ 薬価=6297円)の販売を開始した。
日本国内では、肺がんの約85%がNSCLCと診断され、NSCLC患者の約2〜5%がALK遺伝子の変異を有すると報告されており、ALK融合遺伝子陽性のNSCLCの新規患者数は年間約2000〜5000人と推計されている。
「ジカディア」は、受容体チロシンキナーゼであるALKの自己リン酸化を阻害し、がん細胞の増殖を抑制する経口ALK阻害剤。化学療法および既存のALK阻害剤クリゾチニブ(販売名=ザーコリ)の治療歴があるALK融合遺伝子陽性のNSCLC患者を対象とした国際共同第Ⅱ相臨床試験(日本人を含む)で奏効率37.1%を達成したことなどから、「クリゾチニブに抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として今年3月に承認された。
添付文書の「警告」欄では、緊急時に十分対応できる医療施設で、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師の下で、同剤による治療が適切と判断される症例にのみ投与を行うことなどを明記し、適正使用を求めている。
ノバルティスファーマは、オンコロジー領域での新薬創出に力を入れており、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として「タフィンラーカプセル50mg・75mg」(一般名=ダブラフェニブメシル酸塩)および「メキニスト錠 0.5mg・2mg」(一般名=トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物)の2剤の販売も6月1日から開始した。

●「ジカディアカプセル」の用法・用量
通常、成人には750mgを1日1回、空腹時に経口投与する。患者の状態により適宜減量する(食事の影響を避けるため、食事の前後2時間以内の服用は避ける)

中外製薬:「アバスチン」の効能・効果に「進行・再発の子宮頸がん」追加

中外製薬は5月23日、抗がん剤「アバスチン」(一般名=ベバシズマブ)について、「進行または再発の子宮頸がん」に対する効能・効果追加の承認を同日付で取得したと発表した。
「アバスチン」は国内で既に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」「扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」「手術不能または再発乳がん」「悪性神経膠腫」「卵巣がん」の効能・効果が認められており、進行・再発の子宮頸がんは6つ目の効能・効果となる。アバスチンによる進行・再発の子宮頸がん治療は、「パクリタキセルを含む他の抗悪性腫瘍剤との併用により開始する」とされている。
発売に当たり中外製薬の田中裕上席執行役員は「治療選択肢が限られ、過去10年間治療成績の進展がみられなかった進行・再発の子宮頸がん患者の治療にアバスチンが福音をもたらすことを期待している」とコメントしている。

●「アバスチン」の用法・用量(進行または再発の子宮頸がんの場合)
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には1回15mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は 3週間以上とする

関連物件情報

もっと見る

page top