薬事・食品衛生審議会の再生医療等製品・生物由来技術部会は2月20日、ノバルティスファーマが申請した腫瘍特異的T細胞輸注療法(CAR-T細胞療法)の製剤「キムリア点滴静注」(一般名:チサゲンレクルユーセル)について、再生医療等製品としての製造販売承認を了承した。3月中にも正式に承認される。米国で同製品に付けられた価格が5000万円超と非常に高額であったことから、保険収載時の価格設定が今後の焦点となる。
CAR-T細胞療法は、がん患者から採取したT細胞に遺伝子改変を施し、がん細胞を特異的に認識して攻撃するキメラ抗原受容体(CAR)を発現させ、培養して増やし体内へ戻す画期的な免疫療法。キムリアの場合、末梢血由来のT細胞にCD19を標的とするCARを発現させる。
了承されたキムリアの適応は、再発・難治性でCD19陽性の「B細胞性急性リンパ芽球性白血病」と「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」。いずれも単回の静脈内投与で治療効果を見込む。厚生労働省によると、推定投与対象患者数は年間で最大250人程度。
CAR-T細胞療法では、細胞投与から数週間以内に副作用としてサイトカイン放出症候群(CRS)が高い割合で発現する。CRSに対応するための薬剤とCAR-T細胞療法の前処置に用いる薬剤も、22日に承認が了承されている。