乳癌治療薬ベージニオ錠(一般名:アベマシクリブ)の投与を受けた後に、転帰死亡3例を含む重篤な間質性肺疾患を発現した症例が、2018年11月から19年5月の間に14例報告されたことを受け、厚生労働省は17日、医療関係者向けに迅速な安全対策措置を呼び掛ける「安全性速報」(ブルーレター)を発出した。製造販売元の日本イーライリリーには添付文書の改訂を指示した。
報告された間質性肺疾患の症例のうち、死亡1例を含む4例はベージニオとの因果関係が否定できない副作用症例。承認当初から添付文書上では間質性肺疾患に関する注意喚起は行われていたが、改訂後は「使用上の注意」の「警告」欄に間質性肺疾患に関する注意を追加する。初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認と胸部X線検査の実施など、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止して、必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を施行するよう求める。
ベージニオは「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌」を適応とするサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬。内分泌薬との併用において、成人には150mgを1日2回投与する。厚労省によると、昨年11月30日の発売以降、今年5月14日までに推定約2000人の患者に使用された。
ブルーレターは、通常の「使用上の注意」改訂情報より迅速な安全対策が必要な場合に発出される。発出は15年2月以来約4年ぶり。