厚生労働省は17日、2018年度に実施した「医療用医薬品の広告活動モニター監視事業」の報告書を公表した。18年度中の8カ月間で、延べ45件の医薬品に関する情報提供について広告違反が疑われ、違反が疑われる項目は延べ74件報告された。項目の内訳(複数回答)では、「エビデンスのない説明を行った」が11件(14.9%)で最も多く、次いで「引用時にデータの抜粋・修正・統合等を行った」が9件(12.2%)。違反が疑われる情報入手方法の大半は、MRなどの製薬企業担当者だった。
同事業は、医療機関の医師・薬剤師が協力者となり、違反が疑われる広告・宣伝活動を報告する覆面調査。降圧薬バルサルタンを巡る不正な臨床研究データが広告に利用された事案を受け、2016年度に始まった。17年度は5カ月間で67件の違反疑い項目が報告されている。
18年度事業における主な違反疑い事例としては、▶院内説明会の説明スライドで、3群比較試験の結果のうち1群または2群の結果のみを抽出したグラフで有効性を示した(脂質異常症治療薬)、▶異なる規格の製剤の情報に基づきエビデンスのない説明を口頭で行った(酸分泌抑制薬)―などが報告された。抗癌剤については、企業担当者が同剤のバイオシミラーにとって不利益になるような情報提供を問わず語りに行ったとの報告が、複数のモニター医療機関から寄せられた。
医薬品の広告活動を巡っては、企業担当者が遵守すべき事項を定めた「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が4月に施行されるなど、規制の強化が進められている。
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