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■NEWS 添付文書改訂─抗コリン薬とメトホルミンの禁忌が変更

No.4966 (2019年06月29日発行) P.68

登録日: 2019-06-20

最終更新日: 2019-06-20

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厚生労働省は18日付で、抗コリン作用を有する薬剤とメトホルミン含有製剤の医薬品添付文書の「使用上の注意」改訂を指示する通知を発出した。

■抗コリン薬の禁忌、閉塞隅角緑内障に

抗コリン薬は日本眼科学会の要望を受けて改訂したもの。同学会の要望書によると、緑内障は「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」に分けられ、抗コリン作用により安全性の懸念が生じうるのは「閉塞隅角緑内障」のみと指摘。さらに、「開放隅角緑内障」が抗コリン作用により安全性の懸念が生じるとの記載は、日本や欧米の成書にはないとした上で、開放隅角緑内障の患者にも抗コリン薬の治療機会を提供するため、抗コリン薬の添付文書で禁忌とされている「緑内障」を「閉塞隅角緑内障」に変更することを求めた。また、添付文書の中には「狭隅角緑内障」と記載されているものがあるものの、緑内障診療ガイドライン第2版(2006年)以降は、「閉塞隅角緑内障」に統一しているため、「狭隅角緑内障」を「閉塞隅角緑内障」に変更することを求めていた。

■メトホルミンの禁忌、重度の腎機能障害患者に

メトホルミンは、海外の添付文書が改訂されたことを受けて厚労省調査会で検討。厚労省によると、米国では、推算糸球体濾過量(eGFR)<30(mL/min/1.73m2)の患者が禁忌で、30≦eGFR<45の患者は投与開始を推奨していない。日本糖尿病学会では、腎機能をeGFRで評価し、30mL/min/1.73m2未満は禁忌、30〜45 mL/min/1.73m2では慎重投与とすることを推奨している。さらに、国内副作用報告では、乳酸アシドーシスの副作用例のうち、中等度の腎機能障害患者(eGFR30〜60mL/min/1.73m2)の大半は腎機能以外のリスク因子(脱水、心血管系疾患等)が認められているという。

こうした状況を踏まえ調査会は、これまで禁忌としていた「中等度以上」(高投与量製剤)、「軽度から重度」(低投与量製剤)を「重度の腎機能障害患者」のみに変更するなどの改訂を了承した。

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