中央社会保険医療協議会薬価専門部会は12月13日、2020年度薬価制度改革の「骨子(たたき台)」を大筋で了承した。論点整理の段階では2案が提示されていた、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出等加算)」を比較薬として「類似薬効比較方式(I)」(以下、類I)で薬価算定した場合の比較薬の累積加算額の控除時期は、収載から6年後の3回目の薬価改定時とすることが決まった。次回、20日の部会には骨子案が示される見通しだ。
論点整理は、「新薬創出等加算」の対象品目を比較薬に「類I」で薬価算定した場合の比較薬の累積加算額の控除時期について、当該新薬の薬価収載と同時とする案と、薬価収載から一定期間後とする案の2案を併記。関係業界はこのうち後者を支持し、控除時期は収載から6年後が妥当との考えを示していた。こうした意見を踏まえ、骨子のたたき台は、収載後3回目の薬価改定までに、当該品目が効能追加などで新薬創出等加算の対象品目となっていない場合は、薬価収載時点の比較薬の累積加算分を控除するとの方針を明示。薬価収載と同時に控除する「類似薬効比較方式(II)」による算定品目とは異なる扱いとした。
再算定では、過去に市場拡大再算定を受けた品目が再度対象になった場合に、前回の再算定時に市場拡大規模が下げ止め水準を超えた程度に応じて、再算定後薬価の算出に用いる市場規模拡大率を調整するルールを入れる。具体的には、通常の計算式で算出した市場規模拡大率に、前回再算定時の下げ止め超過分を数値化した調整係数(下げ止め対象でない場合は1)を乗じる。効能変化再算定では、効能追加後の主たる効能・効果に対する薬理作用類似薬がないケースであっても、参照薬(主たる効能・効果が同一または類似する効能・効果の既存薬のうち、治療上の位置づけなどが類似するもの)に比べて1日薬価が著しく高く、かつ市場規模の大幅な拡大が見込まれる場合は、再算定対象とする特例を新設する。
長期収載品のうち後発品への置換え率が80%以上となった品目は、後発品の上市から10年経っていない場合であっても、その2年後の薬価改定時に再度、置換え率が80%以上であることを確認した上で、G1ルールを前倒し適用する。Z2とCの置換え率の基準値は10%ずつ引き上げ、▶50%未満、▶50%以上70%未満、▶70%以上80%未満―に変更する。
後発品は、価格帯の集約で薬価改定時に薬価が上昇するのを防ぐため、▶価格帯の境界値が下がり、上の価格帯に移行することで改定後薬価の上昇が見込まれる品目は、移行させず元の価格帯に留める、▶最高価格の30%以上50%未満の価格帯と30%を下回る価格帯では、上の価格帯から降りてきた品目の影響で改定後薬価が上昇することがないよう、改定前薬価が価格帯の加重平均値を下回る品目だけで加重平均し、改定後薬価を別に設定する─といったルールを新たに導入する。論点整理では、後者のルール適用範囲を中間の価格帯だけとしていたが、最下位の価格帯にも適用するべきだとする支払側や業界団体の意見を取り入れて、修正した。