エーザイの内藤晴夫社長(写真)は3月6日に開いた記者懇談会で、「アリセプト」「パリエット」の2大ブランド企業からマルチブランド企業に大きく転換する方針を示しつつ、「アリセプトによって世界の認知症薬物治療の道を拓いた者としての矜持も貫く」と述べ、認知症治療薬アリセプトの価値拡大と新規次世代治療薬の研究開発に最優先で取り組む姿勢を示した。
エーザイは現在、アリセプトのレビー小体型認知症への適応拡大を申請中で、「高用量製剤23mg錠」の今年度中の申請も目指している。
次世代アルツハイマー型認知症治療薬としては、疾患修飾型治療薬の「BAN2401」(フェーズⅡ進行中)と「E2609」(フェーズⅡ準備中)を開発中。記者懇談会で林秀樹副社長は「アリセプトは認知症患者の症状を改善する薬だが、これらは根本治療につながる薬。我々が狙うゴールの適応が取れれば、アリセプトをはるかにしのぐ売上が期待できる」「(アリセプトと)同時に投薬することで、疾患を治すとともに症状を改善することが見込める」と述べた。
エーザイは、米国のバイオジェン・アイデック社と「BAN2401」「E2609」に関する共同開発・共同販促契約を締結している。
●エーザイが開発中のグローバルブランド
「レンバチニブ」(2014年度に甲状腺がんで申請予定)、「Fycompa」(2015年度に部分てんかん/全般てんかんで申請予定)、「BELVIQ」(2018年度以降に肥満症治療薬で申請予定)など
厚生労働省は3月24日、新しいタイプの2型糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬4製品の製造販売を承認した。1月に承認を取得している「スーグラ錠」(一般名=イプラグリフロジン)と合わせ、国内のSGLT2阻害薬は5製品となり、各社の競争は激しさを増しそうだ。
SGLT2阻害薬は、腎尿細管で糖の再吸収を行う輸送体であるナトリウム・グルコース共輸送体 2(SGLT2)を選択的に阻害することにより、糖を尿とともに体外に排泄し、血糖値を低下させる2型糖尿病薬。今回承認されたのは「ルセフィ錠」(一般名=ルセオグリフロジン水和物)、「デベルザ錠/アプルウェイ錠」(一般名=トホグリフロジン水和物)、「フォシーガ錠」(一般名=ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)で、ルセフィ錠は大正製薬、デベルザ錠は興和、アプルウェイ錠はサノフィ、フォシーガ錠は小野薬品工業とアストラゼネカが販売する。薬価収載は5〜6月頃の見通しだ。
東京医大教授の小田原雅人氏は3月28日に開かれたメディアセミナー(サノフィ主催)でSGLT2阻害薬について講演し、SGLT2阻害薬は単独では低血糖を起こしにくいとしながらも、効き目は強いため「SU薬を高用量使用している患者に上乗せする時は減らした方がいい」と注意喚起した。
●今回承認されたSGLT2阻害薬の用法・用量(通常)
①ルセフィ錠:2.5mgを1日1回朝食前または朝食後に経口投与 ②デベルザ錠/アプルウェイ錠:20mgを1日1回朝食前または朝食後に経口投与 ③フォシーガ錠:5mgを1日1回経口投与