次期薬価改定に向け薬価制度見直しを巡る議論が本格化する。カギとなるのは、様々な課題が浮上している類似薬効比較方式、原価計算方式を含む薬価算定ルールのあり方。“期中改定”導入と並行して中央社会保険医療協議会薬価専門部会で検討を重ね、年度内に制度改革の方向性をまとめる。
高額薬剤への対応に注目が集まる一方、現行薬価制度を巡る様々な課題が浮上している。1つは算定ルールの透明性をどう確保するか。中川俊男委員(日本医師会)は8月24日の薬価専門部会で、コストを積み上げて算定する新薬の原価計算方式について、「開発費はメーカーの言い値。メーカーは否定するが、ほかに並行している開発ラインの人件費などが含まれている可能性を排除できない」と指摘。「当局(厚労省保険局)とのやりとりがブラックボックスのため確認できないことが問題。できる限り情報開示してほしい」と求めた。
もう1つの課題は不合理性の解消だ。今改定で特例拡大再算定の対象となったC型肝炎治療薬「ハーボニー」と「ソバルディ」は類似薬効比較方式が用いられたが、比較薬に高コストのインターフェロン製剤を含むため、化学合成品にもかかわらず高薬価で収載。年間売上が1000億円を超える要因の1つとなった。
このほか「外国平均価格調整」(用語解説)の見直しも論点となる。同日の中医協総会では乾癬治療薬「トルツ」が収載。トルツには類似薬効比較方式が用いられたが、外国平均価格調整が行われた結果、同種同効薬の「コセンティクス」「ルミセフ」の薬価を大幅に上回った。
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