中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は9日の総会で、新医薬品23成分35品目の薬価収載を承認した。このうち、8月24日の中医協で条件つき承認となったために、販売元の日本イーライリリーが収載希望を取り下げていた乾癬治療薬「トルツ」が、改めて収載されることになった。収載は18日予定。
トルツを巡っては、8月24日の総会で類似薬との薬価差が問題視された。薬価算定には類似薬効比較方式が用いられ、外国平均価格調整が行われた結果、同種同効薬の「コセンティクス」「ルミセフ」を大幅に上回る24万5873円(80mg1mL1筒)となり、厚生労働省は同種同効であれば低価格の両薬の使用を推進する留意事項通知を発出した。こうした状況を受け、日本イーライリリーが8月31日予定だった薬価収載を撤回するという経緯があった。
改めて収載されたトルツの薬価は外国平均価格調整が行われず、14万6244円となり、8月の算定時と比べ約10万円低い薬価となった。中川俊男委員(日本医師会)は今回のような事態を防ぐため、「現在検討を進めている薬価制度の抜本的見直しで、製薬企業の希望小売価格を用いている米国の価格は外国平均価格調整の対象から外すべき」と指摘した。
このほか中川氏は、トルツが医薬品の薬事承認から60日で薬価収載されるという原則に反していると問題視。「これではメーカーの思い立ったときに申請していいことになる。オプジーボの効能効果を追加する手法でも同じことを指摘したが、製薬企業の戦略に医療保険制度が翻弄されてはいけない」と釘を刺した。