医療目的の大麻使用について厚生労働省医薬・生活衛生局の伊澤知法監視指導・麻薬対策課長は8日、「認めるべきではない」との見解を示した。この日厚労省が省内で開催した大麻に関する記者勉強会で明らかにした。
大麻の医療目的使用(用語解説)については、先の参院選で解禁を公約に掲げた俳優の立候補者が先月、大麻取締法違反の疑いで逮捕され話題となった。
伊澤課長は、日本は医療用麻薬の消費量が諸外国に比べて少ない問題を指摘。モルヒネ、フェンタニル、オキシコドンの100万人1日当たり消費量は米国1万7066、カナダ1万8440、ドイツ1万8210に対し、日本は1171に留まるデータを紹介し、「痛みのコントロールに関してまだやるべきことがある中で、一足飛びに医療大麻の議論をするのは時期尚早」と述べ、「若者の乱用の現状を考えると、当局として認めるべきとは思っていない」と述べた。
また、世界保健機関(WHO)は医療目的での大麻使用について有効であるとの見解を示していないことや、化学合成したカンナビノイド(大麻成分の総称)は麻薬研究者免許を取得すれば日本で創薬に向けた研究が可能であり、海外でも研究が行われているものの、日本のみならず海外でも実用化には至っていないことを紹介した。
【大麻の医療目的使用】:G7の規制状況は、禁止が日本、英国、フランス、イタリア、米国。合法はドイツ(許可制)、カナダ。米国は25の州とワシントンDCで医療目的の大麻使用が解禁されている一方、連邦法では大麻を最も規制が厳しい区分(高い乱用可能性がある薬物またはその他の物質)に分類している。