評価している。薬害被害者の立場でいうと、医薬品の適正使用の推進に関して、日本の現在の制度は十分に対応していない。例えば、抗がん剤イレッサ(一般名ゲフィチニブ)の副作用死を巡る訴訟で最高裁は、イレッサを承認した国の違法性を否定する一方で、「医師が添付文書を読めば、危険性を認識できた」という、医療過誤の問題との認識を示した。これだけ医療が専門分化している中で、承認されれば、医師がどんな使い方をしても「適正」と解釈するのはあまりにナイーブだ。
私が考える適正使用は “医療費抑制”ではなく、“標準医療”。今回の対応は、診療報酬が薬事行政を誘導し、標準医療の推進を目指していると捉えている。
患者の選択基準については慎重に議論すべきで、一律に基準を設定するのは望ましくない。
本来は、対象医薬品を適切に使用できる医師がプロフェッショナル・オートノミーを発揮すれば、患者の選択基準を設ける必要はない。ところが、どうやら極端な振れ値が存在する。そうした部分を刈り込むという趣旨なら、患者の選択基準は概念としてはありうるが、具体的には難しい。
残り868文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する