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安倍首相、薬価制度抜本改革の基本方針取りまとめを指示 【経済財政諮問会議】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.12

登録日: 2016-11-29

最終更新日: 2016-11-29

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政府の経済財政諮問会議は11月25日の会合で、2017年度予算編成の基本方針について了承した。会合では安倍晋三首相が薬価制度改革の重要性に言及し、「抜本的改革に向けて諮問会議で議論し、年内に政府としての基本方針を取りまとめてほしい」と指示した。

塩崎恭久厚生労働相は経済・財政再生計画の重要課題とされる薬価制度見直しに関する検討状況を説明。「薬価制度の抜本改革」として、市場環境の変化により一定以上の薬価差が生じた医薬品について、「少なくとも年1回」、これまでの改定時期に限らず薬価を見直すとし、“薬価の毎年改定”を視野に見直しを進める方針を示した。また、16日に中央社会保険医療協議会が「緊急薬価改定」として薬価の50%引下げを決めたがん免疫療法薬「オプジーボ」のように、効能・効果の追加などにより急激に市場規模が拡大した医薬品については、「収載後の状況の変化に対応できるよう」に年4回ある薬価収載の機会を最大限活用して、柔軟に薬価を見直すとした。

同会議では、かねて民間議員が薬価の毎年改定導入を強く求めていた。25日の会合では改めて伊藤元重議員(学習院大)らが、国民負担を軽減するため、流通価格の下落実勢を毎年度予算に適切に反映する仕組みとして毎年改定を提案。菅義偉官房長官も毎年改定の必要性を指摘した。

■毎年改定で実態を適切に反映できるか

薬価の毎年改定を巡っては、日本医師会や日本病院団体協議会などの医療団体に加え、製薬業界、流通業界が軒並み反対している。薬価改定には公定価格である薬価と実勢の流通価格との乖離率を把握する必要があり、全医薬品を対象に薬価調査が行われる。通常の調査実施時期は改定前年の9月で、新薬価が適用されてから約1年半が経過している。流通価格の形成には一定程度の期間を要するとされており、毎年改定は必ずしも民間議員が指摘する「適切に反映」する仕組みとは言えない。また、毎年改定によるシステム変更で関係者の人的・経済的な負担が増大することも予想されている。

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