厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は11月25日、便秘型の過敏性腸症候群(IBS)治療薬「リンゼス」(アステラス製薬、一般名:リナクロチド)の承認を了承した。承認されれば、国内では初めての便秘型に特化したIBS治療薬となる。
アステラス製薬によると、同剤の推定使用患者数は約5万人。日本消化器病学会のガイドラインでは便秘型IBSの治療は段階的に行うことを推奨しており、食事と生活習慣改善の指導を行い、必要に応じて薬物治療を行うとしている。同剤は薬物治療における選択肢のうちの1つと位置づけられる。
同部会ではまた、「サインバルタ」(塩野義製薬、一般名:デュロキセチン塩酸塩)の「変形性関節症」の効能追加を了承。セロトニンやノルアドレナリンの関与する下行性疼痛抑制系を活性化することで疼痛を緩和すると考えられている。既存の変形性関節症に伴う疼痛の治療薬と作用機序が異なることから、慢性化した疼痛に対する新たな治療の選択肢として位置づけられる。
同剤は自殺企図などの重篤な副作用が発現するリスクがあることから、厚労省は塩野義製薬に対し、精神科医と連携した上での使用を呼びかけるよう要請するとしている。