塩野義製薬と日本イーライリリーは1月26日、昨年12月に「変形性関節症に伴う疼痛」の適応追加が承認された「サインバルタカプセル20mg・30mg」(一般名:デュロキセチン塩酸塩)についてメディア向けセミナーを開いた。
変形性関節症に伴う痛みは、炎症性の痛みに加えて、痛みの持続的刺激によって起こる下行性疼痛抑制系(痛みのブレーキ機能)の機能減弱による痛みもあり、痛みの原因に応じた治療が必要とされている。セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用を持つサインバルタは、下行性疼痛抑制系を活性化させたい場合の治療選択肢として期待されている。
セミナーで講演した島根大整形外科学教授の内尾祐司氏(写真)は、変形性関節症患者でサインバルタを使用するケースについて「NSAIDs(抗炎症薬)によって効果が見られない患者に対してはこの薬が期待できる。NSAIDsで炎症が引いているにもかかわらず痛みが残っている人に併せて使うことも効果的ではないか」とコメントした。
内尾氏はまた、変形性関節症の患者は医師と話し合い、治療目標を明確に設定した人ほど満足度が高い傾向があることから、治療においては「医師・患者間のコミュニケーションが重要」と強調した。
●国内で承認された「サインバルタ」の効能・効果
①うつ病・うつ状態、②糖尿病性神経障害に伴う疼痛、③線維筋痛症に伴う疼痛、④慢性腰痛症に伴う疼痛、⑤変形性関節症に伴う疼痛
あすか製薬は1月18日、肝性脳症治療薬として昨年11月に発売した新規難吸収性抗菌薬「リフキシマ錠200mg」(一般名:リファキシミン)についてメディア向けセミナーを開いた。
肝性脳症は、劇症肝炎や肝硬変に伴う意識障害を主とする精神・神経症状の総称。肝機能低下により血液中のアンモニア濃度が上昇し、脳神経に影響を与え発症すると考えられている。リフキシマは、腸内細菌に作用しアンモニアの産生量を減少させることで肝性脳症における高アンモニア血症を改善する薬剤で、イタリアのAlfa Wassermann S.p.A社が創製・開発した。
18日のセミナーで講演した大阪市立大肝胆膵病態内科学教授の河田則文氏は、肝性脳症の治療の手順としては従来薬の合成二糖類などをまず使い、十分な効果が見られない場合にリフキシマを用いることになると説明しながら、「患者の昏睡を早く覚醒してあげたい場合には、いきなり難吸収性抗菌薬を使うことになっていくのではないか」との見方を示した。
河田氏は、肝性脳症の診断の難しさにも触れ、認知症やうつ病と症状が似ているため見過ごされるケースがあることから、「肝機能検査などによる判別が重要」と強調した。
●「リフキシマ」の効能・効果/用法・用量
【効能・効果】肝性脳症における高アンモニア血症の改善
【用法・用量】1回400mgを1日3回食後に経口投与