厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会と第二部会は、1日と8日にそれぞれ会合を開き、下掲の4成分5品目について、承認して差し支えないとの結論をとりまとめた。
このうち「ベルソムラ錠」は、二重オレキシン受容体拮抗薬(DORA)と呼ばれる新作用機序の不眠症治療薬。入眠と覚醒に関わるオレキシン受容体の働きを阻害することで、入眠障害と中途覚醒の両症状を改善する。成人には20mg、高齢者には15mgを1日1回、就寝前に投与する。
第Ⅲ相臨床試験の結果によると、ベンゾジアゼピン系などの既存の薬剤に比べて耐性、依存性がともに有意に低く、断薬による反跳性不眠(リバウンド)も認められなかった。
現時点で同機序を持つ薬剤の承認例は国内外ともになく、承認されれば世界初となる。
「ジーラスタ皮下注」は、癌の化学療法における発熱性好中球減少症患者を投与対象とする顆粒球コロニー(G-CSF)製剤。
癌の化学療法では、抗癌剤の副作用の1つとして、感染防御を担う好中球の減少がみられるが、発熱を伴う場合には重篤な細菌感染症に罹患している可能性があり、危険な兆候とされる。
同剤は好中球の分化を促進し、好中球の数を増加させることで、重篤な感染症への罹患リスクを抑制する。類薬にはG-CSFの遺伝子組換え体を用いた「フィルグラスチム」などがあるが、同剤はこれらに比べて体内での分解が遅く、より効果が持続するとされている。
成人には化学療法剤の投与を終了した翌日以降、3.6mgを化学療法1サイクル(約3週間)あたり1回投与する。
第一部会では、ノボ・ノルディスクファーマのGLP-1製剤「ビクトーザ皮下注」(リラグルチド)の適応拡大についても了承された。
同剤の使用は、食事療法と運動療法に加え、スルホニルウレア剤を使用しても効果が得られない場合とされていたが、今回制限が解除される。
同部会ではまた、大日本住友製薬のビグアナイド薬「メトグルコ錠」(メトホルミン塩酸塩)の適応症に、小児(10歳以上)の2型糖尿病を追加することも了承された。
さらに、グラクソ・スミスクラインの抗てんかん薬「ラミクタール錠」(ラモトリギン)についても、適応拡大が了承。2次性全般化発作を含む部分発作と強直間代発作に対する同剤の使用は、他の抗てんかん薬で効果不十分な場合の併用療法に限定されていたが、単剤療法での使用も可能となる。